ドラッグヒート

ドラッグヒート [DVD]

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映画『ドラッグヒート』予告篇

原題は'Skorumpowani'(英題'The Corrupted')。ポーランド製のクライムアクション映画です。メインキャストやスタッフは当然ポーランドの人たちで、ほとんど馴染みがありませんが、イギリス人のマックス・ライアン(「トカレフ」)やフランス人のオリヴィエ・グラナー(「セクター4」)も出演していて、セリフも英語になってます。

ヨーロッパ麻薬ルートの中継地点、ポーランド。地元警察のマックスが現場を急襲するが、内通者がいたのか、ミスを犯してしまう。しかも、上層部からの圧力で捜査は打ち切りになってしまい…。

一方、郊外の小さな町で、有力者の息子がドラッグの過剰摂取で死亡。警察は中毒者の事故死で片付けようとするが、それに納得がいかない姉が組織が仕切るクラブに潜入。そして、マックス刑事もこの“事件”を独断で捜査し始めて…という流れです。

まず、アクションは銃撃戦あり、カーチェイスあり、格闘戦ありで盛りだくさん。何故か空手道場のシーンまで! 男女共に役者たちの顔つきが良いし、美女のヌードもありと、この手の娯楽アクションに必要な要素はひと通り揃っている。

しかし実際は、それら全ての面が垢抜けてない作品でした…。 前述のアクションシーンやドラマ部分、つまり全部の場面のテンポが悪い。それに輪を掛けて、BGMがどこのサイレント映画の劇伴?という古めかしさ。

一番ダメなのが、主人公のはずの刑事やヒロインと悪玉たちを、似たようなテイスト、分量で見せてるトコ。おかげで、主人公たちがちょくちょくいなくなって、捜査(要するにメインのストーリー)が今どこまで進んでるのか、ぼんやりしたまま時間だけが経過。役者の顔に馴染みが無い事もあって、コイツがホントに主役なのか?一番悪いのは誰?という気分に。最後も何アレ?

こんな感じの凡作。念の為に言っとくと、最近でも「ワルシャワ、二つの顔を持つ男」みたいな中々の良作もあるように、この失敗の原因はポーランド映画界の問題じゃなく、本作の製作チームの力量不足にあると思います。