人造昆虫カブトボーグVxV#43
‘チャー1! フリエン! インバト!’ 自販機でたった百円で買えるお手軽なワンコインボーグが老若男女を問わず大流行。景気まで上昇させたこのブームに違和感を覚えるリュウセイは、ある日無造作に捨てられた1コインボーグを集める老人と出会う。その姿に共感し、ボーグ拾いに参加するリュウセイたち。
老人と別れ、ロイドさんの店に行くと、何とロイドさんまでワンコインボーグ自販機の設置を検討していた! ‘バカヤロー!’ リュウセイの涙の鉄拳で真ロイドさんも改心するが、ワンコインボーグの大流行の煽りを受け、これまでのボーグ業界は窮地に陥っていたのだ。そんな中、一本の電話が入り、ロイドさんに連れられて行くと、そこは先ほどの老人の家だった。老人の正体は江戸から続くボーグ職人の人間国宝・十一代目坂東株右衛門(声/小村哲生)だった! だが、戦後輸入品が入って来ても耐え忍んできた伝統のボーグ職人も、このワンコインボーグブームの前に、遂に職人を辞めるのだという。そう言いつつも庭の焚き火で拾い集めたワンコインボーグのボーグ供養をしている株右衛門の姿を見たリュウセイは決心。ワンコインボーグの製造メーカー、ハードキャッシュ社の村正彦社長*1に直談判に向う。受付のお姉さん(声/小野涼子)にアポイントメントが無いと断られると、当然ボーグで勝負と切り出すリュウセイだったが、何とこれにも予約が必要!? しかもその予約受付にすら、不況に喘ぐボーグ業界の中小企業や町工場の親父たちが押し寄せて何と三週間待ちの状態だった!
ロイドさんの店に帰り、流石にしょげ返るリュウセイ。だが株右衛門最後の作品、オールド・ノスタルジック・パフュームを手渡され、再び闘志に点火! 伝統的カブトボーグ保護を訴える雨中の署名活動、ビラ配り、そして演説会。どうにも拉致が開かないと、最後はボテ箱に乗って弾き語り! ♪カブトぉボーグはぁ人生のぉ塩辛ぁ♪ ところが意外にもリュウセイが歌うこの曲『ふりむけばカブトボーグ』に火が点き、何とCD化! しかもチャート第一位ゲット!!*2 シンガーソングボーガーとして一躍時の人となったリュウセイは、遂に『朝まで生ボーグ』であの村社長(声/津田健次郎)と夢にまで見た対決する事に!
何の前フリも無く、いきなりバトルを要求するリュウセイ。‘俺が勝ったらお前は会社を辞めろ! 負けたら歌う事をやめる!’というリュウセイに対し、村社長の出した条件は、リュウセイがワンコインボーグの永久的広告塔になる事。そしてルールは、村社長だけではなくハードキャッシュ社の全社員と対決する事、更に当然の如くインスタントバトル! あのオールド・ノスタルジック・パフュームを手に、この無謀な条件を飲んだリュウセイ。‘チャー1! フリエン! インバト!’‘チャー1! フリエン! インバト!’ ワンコインボーグを一斉にフィールドにチャージインする全社員。何とその無数のワンコインボーグが、今週のビックリドッキリメカよろしく合体! 一体の巨大なボーグとなってオールド・ノスタルジック・パフュームの前に立ち塞がった! ‘これが弊社のボーグ! ビッゲスト・カンパニー・ニューウェーブ! 俺はどっちでもいいけど!’ ボーグに対する情熱と愛情があればと、リュウセイも果敢に挑むが失敗。ここで村社長が語り出した。ボーグに対する愛は無いが、社員一同、客を楽しませる事には誰にも負けない努力をしている。時代を変えたのは自分たちではない、民意なんだ。この安っぽいボーグにも社員一人一人の思いがこもっている。一々ご尤もな正論に思わず怯むリュウセイだったが、踏み止まった! ‘所詮お前が残してきた物はワンコインボーグのゴミの山じゃないかぁッ!’ ボーグ愛を高らかに宣言し、‘だからこそ言おう! お前みたいなどっちでもいいヤツに負けたら、地獄の閻魔様に合わせる顔が無いからだよぉーッ!!’ ここで必殺技リアルタイムアナザーロングタイムアゴー発動! 村社長もコンテンポラルインディペンデントヘッドハンティングを発動するが、リュウセイ完勝! ‘情熱は終わらない!’ 数日後、ハードキャッシュ社に乗り込むリュウセイたち。八十階の社長室に入ると、そこにいたのは何と株右衛門だった! ‘まさに温故知新の精神でェす’というイマイチ合ってない気がする言葉でEND。
序盤から次々に美味しいネタが飛び出し、話がどっちに転ぶか全く予想がつかない快作。でも〆だけがイマイチな気が。途中まで筆が走り捲ったけど、オチが上手く思いつかなかったんじゃないかな。脚本/下山健人。
