コールド・キラー - ［SAMPLE］ビデオながら見日記

原題は'Die Hölle'（英題'Cold Hell'）。「デッドフォール」のステファン・ルツォヴィツキーが故国オーストリアに戻って撮ったサスペンスアクションです。主演のおネエちゃんは知らない人ですが、「アドベンチャーズ」でジョン・シルバー役だったトビアス・モレッティが出演してます。

ウィーン。深夜勤務から帰宅した女タクシードライバーのエズゲは、部屋の窓から何者かが娼婦を惨殺している現場を目撃する。すぐに通報し、保護を求めたものの、移民で薬物所持の前科を持つエズゲの話を警察はろくに取り合わない。翌朝、犯人からの視線に怯えるエズゲだったが…。

恐怖の余り、自室から離れたヒロイン。だが、タクシー会社の社長と結婚していた子持ちの従姉妹が夫婦喧嘩の末に彼女の部屋を訪れ、猟奇殺人犯に間違われて殺された事から…という展開です。

まず、主演のヴィオレッタ・シュラウロウ（ウズベキスタン出身みたい）という女優さんの精悍な美しさが印象的（ヌードもあるヨ！）。そんな彼女の、男勝りでムエタイのジムに通ってたりする背景を序盤から見せる事で、終盤に当然訪れる犯人との対決に説得力を持たせている。

また、彼女とトビアス・モレッティ演じるベテラン刑事とのシーンもイイ雰囲気だし、共同制作のドイツっぽい派手なカーアクションがあったり、移民問題 *1や老人介護問題等々の様々な現代的なテーマを盛り込んでたりと、色んな要素が詰まった濃密な作り。

メインのサスペンス部分も、モロにノワールなBGMはやり過ぎ感があるけど、勢いと猟奇性があって悪くない。さすがはアカデミー賞受賞監督のルツォヴィツキーらしい見応えある作品でした。

*1:さりげなく刑事の相棒が旧ユーゴ系なのを匂わせてたりも。