狂気の行方
11/3レンタルリリース ファインフィルムズ
My Son, My Son, What Have Ye Done (2009) Trailer [HD]
原題は'My Son, My Son, What Have Ye Done'。今年六月の東京での特集上映で掛かったのみで一般公開は見送られていた、ヴェルナー・ヘルツォークの最新作となる、実話を基にしたクライムドラマです。しかも本作の製作にはデヴィッド・リンチの名が! 現役監督の中でも鬼才中の鬼才、異才中の異才である二人が組んだ作品という事で、キャストも充実。主演はマイケル・シャノン、ウィレム・デフォー。そしてマイケル・ペーニャ、クロエ・セヴィニー、ウド・キアー、ブラッド・ドゥーリフ、ヴァーン・トロイヤー、そしてグレイス・ザブリスキーが共演してます。
サンディエゴ。隣家で母親を殺した男が、人質を取って自宅に立て籠もるという事件が発生。現場に駆けつけた刑事ハンクは、犯人であるブラッドの説得を始めようとする。そこへ、ブラッドの婚約者だという女性イングリットが現れ、彼は一年前のペルー旅行から帰ってきて以来、奇妙な言動を繰り返していたと話して…。
オープニングは、刑事役のデフォーが車を転がしながら相棒のマイケル・ペーニャとダベってるシーンから。あら? コレも「バッド・ルーテナント」みたいな感じの作品なのかと思いきや、犯人役のマイケル・シャノンがペットのフラミンゴに話しかけ出した途端、雰囲気はいきなり不穏なモノに!?
お話は、刑事VS犯人みたいなのじゃなく、セヴィニー演じる婚約者と、彼女や犯人と芝居仲間であるウド・キアーがデフォーに語るという形で、殺人事件を起こすに到ったかを描いていくという流れ。
で、その語りの中で、いきなり出てくるペルーの山々と大渓谷、そこに流れる激流の映像! これぞヘルツォーク!! そして犯人の母親役のザブリスキーの怖い顔! これぞリンチ!! 更にドゥーリフが営むダチョウ牧場! って、えっ?!
こんな感じで、全編に渡って異様な緊張感と不可思議な空気が充満! 母親殺しの話で、主人公たちが演じる芝居がギリシャ悲劇の『オレステイア』というのは判り易過ぎる気はするし、面白いと感じるかは人に寄るとしか言い様がありませんが、少なくともヘルツォークの新作が見たい方、リンチの名前で関心を持つような方には見応えが十二分にある作品だと思いました。
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