TRANSPORT トランスポート

TRANSPORT トランスポート [DVD]

TRANSPORT トランスポート [DVD]

原題は'Fetching Cody'。「トロピック・サンダー」等でのオタク青年役で注目を集め、今年に入ってからは「魔法使いの弟子」の弟子、「ヒックとドラゴン」のヒック(の声)とハリウッドメジャー作品で主役級にまで登りつめたジェイ・バルチェルが、地元カナダで2005年に主演を務めていたSFドラマです。共演は「メントーズ」「フォレスト・オブ・ザ・デッド」のサラ・リンド、「ハイランダー ネクスト」のジム・バーンズ。

貧乏ながら気ままな暮らしを楽しむアートとコーディのカップル。だがある夜、アートがコーディのアパートに入ると彼女はドラッグの過剰摂取で倒れていた。昏睡状態に陥り病院の集中治療室に担ぎ込まれたコーディ。成す術の無いアートは、知り合いのホームレスが道端で拾ったという“タイムマシン”を使って、コーディを救おうとするが…。

まず、SF映画として期待すると完全に裏切られる作品。何しろ“タイムマシン”といっても、見た目はボロいソファに電球が括りつけられただけの代物ですから。当然、その手の派手な映像など皆無。

実際の作りは、インディーズっぽい一風変わった青春恋愛ドラマでした。で、その手の映画がお好きな方なら是非見て欲しい中々の佳作!

お話は、主人公が恋人が死なずに済むよう、彼女のトラウマの原因を探り、何とか解決するも…という事の繰り返し、なんですが、コレが結構面白い。正直、脚本が未整理、説明不足だったりはします。ただそれも、見ているうちにどうしてそういう作りになったのか、薄々には察しがつくようにはなっている*1

この辺はインディ映画の監督らしいクールさが原因かと。そのせいもあってか、バンクーバーの相当に荒んだ裏通りという舞台、そして主人公たちがヤク中というハードな設定なのに、全体が妙に爽やかな雰囲気に。おかげで女性でも見やすくはなってますが。

そんな感じで気になる点も色々あるんですが、最後に主人公がたどりつく結論と、それに続くラストシーンの鮮やかさで全て打ち消しちゃってるんだよなぁ。役者たちの演技も魅力的。お店の棚に埋もれてしまいそうな微妙な邦題とジャケですが、何とか探し出して見ていただきたい、そんな可愛らしい作品でした。

*1:今回リリースするメーカー特有のダメな字幕のせいで混乱しがち、というのもあります。