OSS 117 私を愛したカフェオーレ

OSS 117 私を愛したカフェオーレ [DVD]

OSS 117 私を愛したカフェオーレ [DVD]


※予告編

 原題は'OSS 117 Le Caire nid d'espions'。ジャン・ブリュースの原作を下に1950年代から60年代に映画化されたフレンチスパイ映画「OSS 117」シリーズを復活させたアクションコメディ、と言うか、何故か2006年の東京国際映画祭でグランプリを受賞してしまった「OSS 117 カイロ、スパイの巣窟」が、劇場公開される事無く今更DVD化!!

1955年。消息を絶った親友の仇を討つ為に仏政府の敏腕諜報部員、コードネームOSS 117ことユベール・ボニスールは、各国のスパイが暗躍するカイロに潜入するが…。

予告編を見て貰えば察しがつくと思いますが、アクションコメディといってもズッコケギャグ系ではなく、往年のスパイ映画をネタに笑わせる作り。それも「オースティン・パワーズ」みたいなパロディ系でもなくて、徹底的にその当時の雰囲気を再現し、その構造で笑って貰うという複雑な映画でした。

とにかくその再現ぶりが凄くて、飛行機は模型、ドライブシーンの背景はブルーバックみたいな目に見える部分なんかは序の口。第三世界への見下しぶりや男尊女卑といった当時の西欧社会の価値観まで再現してる! と言うか、ここまで徹底してると、ショーン・コネリー版の「007」辺りは基礎中の基礎、最低でも「電撃フリント」や「サイレンサー」シリーズくらいは押さえておかないと、単に昔の映画を見せられた気分になっちゃうかも。

で、多少は判り易いギャグも織り込まれてはいるものの、基本的にはいかにもおフランス的な映画偏差値の高さを要求する作りなので、途中で飽きてしまうのも事実(大体あの頃のスパイ映画自体が…)。

こういう時こそ日本語吹替版が威力を発揮するはず、なんですが、何を考えたのかメーカーは吹替にあのFROGMANを起用。いや、別にFROGMANをけなす気は無いけど、製作者の意図を考えれば、それこそ若山弦蔵辺りのベテラン声優を起用した方が面白くなるんじゃないの?*1 ジャケにしても、一応は海外版と同じではありますが、ここは信藤三雄センセにお願いしてオサレなのをデザインして貰えばもの凄いギャグになると思うんだけどなぁ。と言うか、東京のヒトたちはともかく、ウチみたいな田舎のチェーン店からしたら、FROGMANに吹替をやらすなんてタレント声優以下の邪魔でしかないんだけど。

仏本国では大ヒットを記録していて、来年はに続編も公開予定だとか。へビーな映画ファンならネタにするのにピッタリ、一見の価値は十二分にあると思います。

*1:広川太一郎が生きていれば…。