フィービー・イン・ワンダーランド

原題は'Phoebe in Wonderland'。『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をモチーフにした、エル・ファニングちゃん主演のファンタジードラマです。共演はビル・プルマンフェリシティ・ハフマンパトリシア・クラークソンキャンベル・スコット、ピーター・ゲレッティ。それと、実は2008年製作の作品なんですが、「ダーク・フェアリー」のベイリー・マディソンも出演してます。監督・脚本は「ビーストリー」のダニエル・バーンズで、これが初監督作。

夢見がちで少々変わった子のフィービーは、転任してきたドジャー先生によるお芝居『不思議の国のアリス』のオーディションに参加する事に。見事アリス役に合格したフィービーだったが、稽古を重ねるうちに現実と空想の世界があいまいになって…。

見る前は、孤独な少女が現実逃避として不思議の世界に飛び込む、リアルな部分は匂わす程度の可愛らしいファンタジーかと思っていたんですが、実際は、強迫性障害に近い少女の心の中を空想の世界が蝕み、実生活までおかしくなり、苦しむ様を、それにどう対処していいかわからず苦悩する両親の姿までシリアス目に見せていくという、ドラマ色の方が強く感じられる作品でした。

ただ、その描き方は地に足が着いているし、ファンタジー部分の映像も綺麗に撮れている(現実世界の大人たちが“アリス”のキャラクターになるという定番演出も)。

そして、何と言っても、お姉ちゃん以上に繊細で儚げなエルちゃんの可愛らしいビジュアルが役にドンピシャ、作品のランクをグッと引き上げています。

ま、シリアスドラマと考えると踏み込み不足に見えるところもありますが、見どころはある作品だと思いました。

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