黒帯 KURO-OBI
聖典『空手バカ一代』を読んでも、空手家たちの生き様よりも、その周囲で蠢く梶原一騎・真樹日佐夫的アンダーグラウンドな世界に興味を引かれ、先月の東映空手映画集中放送でも‘やっぱ千葉ちゃんの「激突! 殺人拳」サイコー!!’とあらためて感動した自分みたいな人間にとっては、この空手技の凄みや美しさをストイックに映した本作は正直眩し過ぎる!
予告編を見た時からただならぬ雰囲気は感じ取れたんですが、主演二人の繰り出す技の見事さは勿論、その肉体や眼差しからは極めた者だけが醸し出す圧迫感というか、スピリチュアルな雰囲気、ストレートに言っちゃうと宗教染みた感覚さえ覚えます。お陰で演技力云々を論うのが失礼に感じる程のリアリティをこの映画に与えていると思う。
飯田譲治によるストーリーは、今時「水戸黄門」かよ! とツッコミたくなるシンプルさ(諏訪太朗が作った借金の形に女郎屋に売られる近野成美!!)ですが、これはヘタに彼らに演技力を要求せず、アクションシーンをより際立たせる為のモノなのは明白。
長崎俊一独特の抑えた演出も、失われた日本の原風景・侘び寂びの世界を見事に表現。これは国際市場でも相当売れたんじゃないかな。
どうせチャウ・シンチーのエッセンスの劣化コピーだろうと高を括っていた「少林少女」も、本作と同じ西冬彦プロデュース作と知って俄然期待が高まりました。ドリームワークスの「カンフー・パンダ」共々、楽しみにしたいと思います。
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