マッド・ファット・ワイフ

マッド･ファット･ワイフ スペシャル･エディション [DVD]

今春のアカデミー賞で、エディ・マーフィの助演男優賞は鉄板! と吹き捲って大恥をかいたんですが…。

そのエディ・マーフィ主演作で米本国では今年の二月に公開されて初登場第一位になったコメディ映画(原題'Norbit')が日本未公開のままDVD化。監督は「陽だまりのグラウンド」「スカーレット・ヨハンソンの百点満点大作戦」「シャギー・ドッグ」という、訳の判らんフィルモグラフィのブライアン・ロビンス。

赤ん坊の頃に中国人移民ウォンの養護施設の前に捨てられたノービット。強烈なアフロヘア、ド近眼、しゃくれ顎という、ウォンも里親に引き取られるのを諦める程のブサイクさだった彼の唯一の救いは、施設での幼馴染ケイトの存在だった。だがそんな彼女も引き取られて行き、それ以来典型的ないじられっ子になってしまうノービット。そんな彼を救ったのは超おデブ少女のラスプーシアだった! どこが気に入ったのかノービットを片時も離さない様になり、大人になった二人は遂に目出度く(?)ゴールイン。街を牛耳るゴロツキだったラスプーシアの兄が経営する建設会社の会計士になり、家庭では文字通りに女房のでっかい尻に敷かれ、休日に施設の子供たちの相手をして気を紛らわせていたノービットの前に、ある日初恋の人ケイトが美しく成長して現れる。年老いたウォンに代わって施設を引き継ぎたいと語るケイトに、ノービットは思わずときめいてしまうのだが、彼女には立派な婚約者がいて…。

エディ・マーフィ映画の定番となった七変化が今回も登場。本作でエディが演じてるのは主役のノービットとその妻ラスプーシア、そして中国人ウォンの三役。しかしこのパターン、正直もう飽きたなぁ。やり始めの「星の王子ニューヨークへ行く」の頃はお遊び感覚、お楽しみ要素程度だったのが、最近じゃ変身するのが目的になってるもの。今回のデブ女キャラなんて明らかにマーティン・ローレンスの「ビッグママ・ハウス」と被ってるし。

そんな感じで、正直エディのギャグはすべり気味。脇で登場するマーロン・ウェイアンズやエディ・グリフィン、キャット・ウィリアムスたちとは勢いの差が歴然とし過ぎて、見ていて可哀想になるくらい。

物語の方も微妙。何よりラスプーシアのキャラが憎々しいだけでちっとも笑えないんで、美人でスタイルが良くて優しい初恋の人ケイト*1の方を選ぶのが当然に思えてしまう。もう少し可愛げのあるキャラだったら終盤までもしかして? みたいに興味が沸いたと思うんですが。この出来じゃあ日本未公開も当然かな。

御大リック・ベイカーによる特殊メイクは凄いんだけどなぁ。あの黒人デブ特有の汚い段々腹とか本物にしか見えない!

*1:演じてるのがタンディ・ニュートンだもんね。ちなみに婚約者役はキューバ・グッディングJr.が演じてます。