ボーフォート レバノンからの撤退

ボーフォート レバノンからの撤退 [DVD]

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Beaufort Trailer

原題も'Beaufort'。昨年のベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞した、イスラエル製の戦争映画です。

12世紀に十字軍が築いて以来、様々な勢力に使われてきたレバノンのボーフォート砦。1982年のレバノン戦争以来、イスラエル軍が駐留していたのだが、国際的な非難によって2000年に撤退が決定する。しかし22歳の指揮官リラズに率いられた最後の駐留部隊には未だ撤退指令は来ず、逆に敵からは道に爆弾を仕掛けられ、無数の爆撃を浴び続けて…。

撤退が決定しているので反撃も出来ず、司令部に撤退を懇願しても待てという返事ばかり。頼れる上官もいない中で仲間たちは次々に死んでいく。あと僅かで捨てる砦を何故俺たちは命を賭けて守っているのか? そんなジレンマを抱えながらも励まし合う若き兵士たちの姿を力強く描いた力作でした。系で言ったら「U・ボート」系かな。

国の名前だけは頻繁に聞くものの、今一つピンと来ないイスラエルの若者たちも、やはり自分等とそんなに変わらない普通の人間なんだと、当たり前の事をあらためて判らせてくれるのも良かった。

逆に、イスラエルレバノンの地理的、歴史的関係をよく知ってる人ならともかく、序盤は説明不足もいい所で状況が中々飲み込めなく、物語にスッと入っていけないのは残念。正直これで監督賞? って気もします。まぁ戦争映画に甘いベルリンだからなぁ*1

追記。

本年度のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされちゃいました! 商売を考えれば受賞して欲しいけど、うーん、正直そこまでの傑作じゃないと思う。でもハリウッドはユダヤ人だらけだからねぇ。まぁ「潜水服は蝶の夢を見る」「ペルセポリス」「エディット・ピアフ 愛の讃歌」「ラスト、コーション」が外されてる時点で今年はどうでもいい部門になっちゃった。

*1:ヴェネチアはアジア映画に甘く、カンヌは審査委員長次第。