蟲師

10/5レンタルリリース メディアファクトリー
　悪評ばかりが聞こえていたので、どんだけ酷い出来かと思ったらそれ程でもなかった。大友克洋監督作ならこんなモノでしょ? 一体、君たちは大友の映画に何を期待してるんだって感じ。
勿論ダメな所をあげればキリが無い。そもそもオダギリジョーと江角マキコが完全なミスキャスト。見た目はともかく、喋り出すと言葉が軽過ぎて作品世界から浮いてしまってる(特に江角は下手過ぎ)。ギンコ役は虹郎役で出てた大森南朋の方が良かった気がするなぁ。一部で評判の良いりりィも同じ理由で個人的にはダメでした。
それと、日本云々とかギンコと淡幽の関係を言葉にして出してる下品なセリフの数々にも幻滅。勿論最悪なのはあのラスト。
でも、日本の土着的風景を現代に甦らせた映像美には目を見張らされるし、蟲のCGも頑張ってると思う。何より李麗仙や沼田爆を筆頭に、ここまでイイ顔をした脇役陣(りんたろう! 寺田克也! 小畑健はあの小畑健?)が素晴らしい。
で、最初はビジュアルで度肝を抜くんだけど、ストーリー展開がグダグダ過ぎて、最後は眠くなってしまうという、「AKIRA」や「スチームボーイ」と全く同じ轍を踏んでしまった大友克洋らしい映画だと思うんだけど。
実は大友克洋って人は、映画だけでなく漫画でも長い話を作るのが苦手な人で、『気分はもう戦争』は原作付き、『童夢』は連載中断の後で大幅加筆して完成。『AKIRA』に到っては映画製作による中断が明けたら、映画以上にグダグダになってしまったと。
だから、この映画を以って大友の才能が枯渇したなんてのはナンセンスでしかない訳ですよ。もし枯渇した時期があるとすれば映画版「AKIRA」の製作中でしょうに。
とにかく、言われてる程には酷くない映画だと思う。だって、脂汗でぐしょぐしょになったエロい蒼井優も見られるじゃないの!
まぁアニメ版が完璧過ぎたってのが不幸だったのかな。お話がさっぱり判らないという人は、アニメ版を見る事をオススメします。
以上、元大友克洋ファンクラブ会員で、コミックは全巻揃えてるオッサンの感想でした。

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