ゾディアック キラー

ゾディアック キラー [DVD]
5/2レンタルリリース クリエイティブアクザ

原題も'Zodiac Killer'。デビッド・フィンチャーの映画版も楽しみな、かのゾディアック事件を題材にしたサイコサスペンスです。監督はドイツ出身のベテラン、ウーリー・ロメル。

幼い頃から性的虐待を受けて育った青年マイケル。唯一の味方だった祖母に対しても家族が虐待していた影響から、今は老人介護ホームで働く様になった彼は、同じ様に施設の老人たちを虐待する者たちを次々に殺し始める。一見無差別的に見える連続殺人という事で、マスコミは“ゾディアック”の再来、復活だと注目。そしてマイケルも、ゾディアック事件の研究書の作者サイモン*1に接近していって…。

ゾディアックに憧れる若き殺人鬼を、老作家がその正体を悟り、何とか凶行を止めようとする…と、あらすじだけ書くとまともな映画みたいですが、これが! 演技も、演出も、編集も全てが酷い、今年見た中でダントツのサイテー映画でした。

具体的に書くと、まずゾディアック事件で最も特徴的な、暗号化された手紙もズタ袋の覆面も登場しない! これでどこが“ゾディアックの再来”なんだ! そして事件は未解決なのに、老作家が書いた研究書には犯人の幼少期が詳細に書かれている! 冷静に考えれば、実は作家本人が…という伏線なんですけど、それまでの展開が余りにも酷過ぎるので、また適当な事をやってるよ程度にしか見えなくて全く気が付かない!!

そして本編はホームビデオ並のビデオ撮影なんですが、途中途中で妙に良く出来た再現フィルムがやたら挿入されるんですよ。調べると、これはロメルの過去の作品*2の映像。当然、ゾディアックは勿論、本作のストーリーとも全く関係が無い訳で頭が混乱するだけ!

唯一リアルだったのが、マイケル役の人のルックス。髪型はもみ上げを見事に刈り上げたぼっちゃん刈り。色白、ぽっちゃり体型に眼鏡。視線は虚ろ。服装はサバイバル系なんですが、何故か黒のジャケットなのに、パンツは寒冷迷彩…。もう典型的なアキバ系ファッション! 絶対こいつ本物のサイコ野郎だろ! と背筋が寒くなる事うけあい。本当に役者なのかなぁ?

サンプル版が来なかったので自分はまだ見てないんですが、今月リリースされた同じロメルの監督作「ブラック・ダリア キラー」も相当な出来らしいですね。本作共々、見かけても全力で回避して下さい! 本作なんか、本物の死体写真(グロ画像)がバンバン出てきたりもするんで特に!

*1:演じるのはロメル監督本人。

*2:「アンディ・ウォーホールのコカイン・カウボーイ」とか「死霊の鏡 ブギーマン」とか「戦争の荒鷲 ウォーバーズ」とか…。