バッデスト 偽りの捜査線


6/4レンタルリリース ミッドシップ

※予告編
 原題は'Splinter'。私生活でも暴力沙汰を起こしてばっかりの鬼軍曹俳優、トム・サイズモアがロス市警の悪徳刑事に扮したクライムサスペンスです。共演はエドワード・ジェームズ・オルモス。監督は彼の息子のマイケル・D・オルモスです。
刑事に昇進したばかりの女性警官グラムは、ガルシア警部から犯罪地区パラダイス・ガーデンズを担当するベテラン刑事カニンガムの監視を命じられる。捜査の為なら手段を選ばず、家では酒とドラッグに溺れているカニンガム。コンビを組んだ二人は、早速ヒスパニックギャングの惨殺事件を担当するが…。
こう書くと悪徳刑事と新人が活躍する定番のストーリーみたいですが、実際はそれと平行して、目覚めると頭に傷を負い記憶の断片が欠けていたギャングの男*1を軸としたミステリー風の話が描かれていく構成。
もうこれだけでも約90分で描き切るにはネタ多過ぎ、新人監督に捌き切れるのか心配に。ところがコイツ、何を考えてるのか、おいおい一体いつの時代のセンスだよというようなエフェクトを画面にやたらと入れ込んでるんですよねぇ。一方の主役が記憶喪失なもんでフラッシュバックは頻出、場面転換には今更高速道路や雲の動きのコマ落とし映像をインサートという風に。
ようするに演出もシナリオも、アレもしたいコレもしたいと詰め込み捲ったせいで、結局全てが底浅、見る方には何も伝わらないというボンヤリとした出来になっちゃってました。せめて、刑事側かギャング側かのどちらかに絞った話にすれば良かったのに。
トム・サイズモア悪徳刑事ぶりが実に様になっていただけに勿体無い。これだったらエドワード・ジェームズ・オルモスが監督・主演した傑作「アメリカン・ミー」を見た方が遥かに有意義だと思います。

ついでにコレも。
バッデスト 偽りの捜査線 [DVD]

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*1:演じるのは脚本も担当するエンリケ・アルメイダというヒト。