イレイザー

イレイザー [DVD]
11/2リリース ニューセレクト


Kovak Box

原題は'The Kovak Box'。シュワ知事の同名作とは何の関係も無い、ティモシー・ハットン主演で贈る西英合作のサスペンス映画です。

講演の依頼を受けてスペインのマジョルカ島を訪れたSF作家のノートン。だが彼の恋人がノートンからのプロポーズを受けた夜に突然投身自殺してしまう。同じ様にアパートの一室から突然飛び降り、辛うじて命を取り留めたものの、部屋に戻った途端謎の男に襲われた女性シルビア。偶然出逢った二人が事件の真相を探ると、自殺の引き金になったのが携帯電話から流れた'Gloomy Sunday"(『暗い日曜日』)のメロディである事が判り、ノートンは衝撃を受ける。その曲こそ、それをモチーフにした彼の処女作のタイトルだった。小説に登場する“自己抹消装置”という自殺を強要する機械。もしやこの機械を現実のものにしてしまった者がいるのではとノートンは疑うが…。

えっと、これはひょっとして、巷でカルトと話題の「伝染歌」の元ネタ? まぁそれは無いでしょうが*1、少なくとも本作の邦題は「伝染歌」に乗っかったモノにすべきだったんじゃないでしょうか。天下のアルバトロスグループにしては失態だなぁ(最近ちょっと多い)。

本作の話に戻ると、冒頭の主人公たちがスペインへ向う機内のシーンが映画版の「裸のランチ」っぽくって、思わずオオッとなりました。主人公も作家という設定だし、このままインターゾーンへ突入するのか? と期待しましたが、当然それは無し。

それでも、普通のサスペンスホラーとして中々しっかりした作りになっていて面白かったです。近年のスペイン映画界の充実(特にSF/ホラー方面)を改めて実感しました。また、主役のティモシー・ハットンの手堅い演技力は勿論ですが、マッドサイエンティストを演じる「チャリチョコ」のデビッド・ケリーの独特の風貌によって、作品全体の説得力が増す事に。

クライマックスの集団自殺シーンにもう少し迫力があれば超オススメな扱いになってたんですが、流石にそこまでには至ってない。それでも、見て損は無い作品ではあります。このB級感溢れる邦題とパッケージ(今更「エントラップメント」風って)は、絶対に損してると思う。今からでも変えたら良いのに。

イレイザー [DVD]

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暗い日曜日

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※関連作

*1:おそらくどちらもドイツ映画の「暗い日曜日」をインスパイアしたんでしょう。