フロントミッション

原題は'There Be Dragons'。ジャケと邦題は戦争アクション風ですが、実際はローランド・ジョフィがスペイン内戦と聖人ホセマリア・エスクリバーを題材に描いた米亜西合作の戦争ドラマです。主演は「白鯨 MOBY DICK」のチャーリー・コックスと「ザ・キングダム 砂の惑星」のウェス・ベントリー。更にオルガ・キュリレンコダグレイ・スコットロドリゴ・サントロ、ジョルディ・モリャに何故かリリー・コール。そしてデレク・ジャコビチャールズ・ダンス、ジェラルディン・チャップリンアナ・トレントまで出演という充実のキャストです。

カトリックの聖人に列せられる事が決まった牧師ホセマリアについて執筆する事になったロベルトは、ホセマリアと父マノロが同郷の幼なじみであり、一緒に神学校へ入学した仲だった事を知る。長く縁を切っていた父からホセマリアの話を聞こうとするロベルト。しかし父は死期が迫っており…。

お話は、スペイン内戦の勃発によって神学校を退学、ファシズム運動に傾倒していくマノロと、迫害を受けながらも殉教者として生きていくホセマリアの姿を対比させながら見せつつ、現代の父と息子の姿を描くという構成。

予想以上にお金が掛けられ、しっかりと作られた作品でした。戦闘シーンには爆撃機やら戦車やらまで登場し、モブの数も相当だから非常に迫力あり。ホセマリアのピレネー越えのシーンのロケーションも中々。

一方、お話の方は多層的にし過ぎたせいで、ちょっと散漫になってしまった印象。一番は主人公二人が中盤以降はほとんど絡まないってのがあるし、ただでさえ日本人には馴染みの無いスペイン内戦で、しかもマノロがただの戦闘員じゃなく敵方に潜り込んだスパイという設定なので、今コイツは何をやってるのか一瞬わからなくなったり。しかも、そこに現代の父子パートまで入ってくるから…。

しかも最後まで見ると、エスクリバーの方より父子の物語の方が映画的で、いっそこっちだけの話にした方が面白かったんじゃないかなぁという気がしました。