エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE

エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE [DVD]
12/2リリース クロックワークス

原題は'Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora E Outro'(英題'Elite Squad 2')。2010年に作られた「エリート・スクワッド」の正統続編も併せてリリースされます。監督のジョゼ・パヂーリャ以下、スタッフ&キャストはほぼ全員続投。なお、完全に続いてるお話なので、一作目のネタバレが嫌な方はスルーをお願いします。

リオに蔓延る麻薬組織の幹部たちが収監された刑務所で暴動が発生。特殊部隊BOPEが鎮圧に向かったのだが、人権活動家がまだ交渉中にも関わらず、隊員のマチアスが隙を見て発砲、囚人たちを射殺してしまう。事態は収めたものの、隊の指揮を執るナシメントに責任が集中、するかに思えたのだが、意外にも組織を憎む一般市民や保守系メディアから賞賛を浴びる。これを受けて州知事はナシメントをBOPEから州治安局の責任者に抜擢。逆にマチアスは一般警察の閑職に飛ばされるのだった。それから四年後…。

前作を見て、これは続編どうすんのかな? 新たな事件が…みたいな感じでお茶を濁すのかなと思ってたら、何と前作に負けず劣らず、更にスケールアップしたド傑作でした!

全市内を盗聴、監視出来るポジションについた主人公ナシメント。BOPEも実質的に掌握し強化。スラムの麻薬組織を次々に壊滅させて万々歳。かと思いきや、今度は組織が握っていた利権を、何と組織から賄賂を貰っていた腐敗警官がヤクザ以上の凶悪さで奪ってしまう! 更にそのバックには選挙の事しか頭に無い政治屋どもが!! 組織のギャングどもなど足元にも及ばない魑魅魍魎の中に、図らずも入ってしまった主人公。しかも前述の人権活動家は、仕事にうつつを抜かす主人公に嫌気が刺して出ていった元女房の再婚相手!! 中盤から凄まじいスピードで広がっていくお話に、ナシメント一体どうすんねん!? と手に汗を握ってしまう展開なのです!!

ネタバレになるから書きませんが、クライマックスの展開は、完全に9.11以後のアメリカの中東侵攻をモチーフにしたものだったりします。ちょっとモロ過ぎて下品に見えたりもしますが。

こんな感じで、単にドンパチで魅せるとか、スラムの悲惨な現状を訴えるみたいな単純な構造じゃない、凄い映画でした。主人公だってヒーローとして祭り上げてるワケじゃないですし。しかし、この二連作を劇場公開しない、出来ないなんて、日本の映画界ってホントに大丈夫なんですかね?

さて、リオデジャネイロを舞台にした劇場未公開作品が同じ時期にもう一本リリースされます。それは「アイス・エイジ」のチームが作った全米大ヒットCGアニメの「ブルー 初めての空へ」。

原題は'Rio'。ブラジル産の飛べないインコ、ブルー(声はジェシー・アイゼンバーグ!!)が色々あって飼い主と共に'帰郷'して…というお話みたいです。評判良かったのに、これも何故DVDスルーになっちゃったんだろ?

※見ました。ミネソタで飼われていたオウムのブルーは絶滅危惧種だった!? 飼い主と共にパートナーとなるメス(声/アン・ハザウェイ)のいる、カーニバル真っ最中のリオへ渡るが…というお話。恋あり、冒険あり、ブラジルだけに素晴らしい音楽あり。ストーリーは設定から予想されるモノ以上にはならないけれど、ソツなくまとめられた良作でした。元が3Dという事もあってか、飛行シーンは良く出来てました。