エレクトリック・ミスト 霧の捜査線


8/5レンタルリリース インターフィルム

原題は'In the Electric Mist'。ジェームズ・リー・バークの同名小説をベルトラン・タヴェルニエの演出で映画化したハードボイルドです。主演はトミー・リー・ジョーンズ。共演も充実していて、ジョン・グッドマンピーター・サースガード、メアリー・スティンバージェン、ケリー・マクドナルド、そしてネッド・ビーティ。更にはジョン・セイルズバディ・ガイ、リヴォン・ヘルムなんてところまで。脚色は「プレッジ」のジャージー・クロモロウスキーとメアリー・オルセンのコンビです。

ルイジアナ。未成年の頃、売春での逮捕歴があった十九歳の少女が暴行されたうえ、惨殺死体となって発見される。捜査を始めた刑事のロビショーは、ちょうど南北戦争を題材にした映画の撮影で当地を訪れていた俳優のサイクスと知り合い、彼から湿地帯の砂州に白骨死体があるのを知らされる。それは四十年前、ロビショーが目撃、証言したものの、黙殺された黒人射殺事件の被害者のものだった。そんな中、第二の惨殺死体が発見されて…。

この後は、連続殺人の背後には映画に投資していたイタリアンマフィアの影が…。更にそこから四十年前の事件へ、という流れ。

何しろこの面子ですから、雰囲気は抜群です。米南部独特の湿気と熱気の具合も堪らない。そもそも、同じ原作シリーズを映画化した「ヘブンズ・プリズナー」が好きな自分なんかには、ロビショー夫妻が暮らす貸しボート屋や、彼らが養女として引き取ったあの少女が登場するだけでもう大満足、合格! といっていい内容。

といいつつ、雰囲気作りに重きを置き過ぎたせいか、あるいはタヴェルニエがこの手のジャンルに向いてないのか。全体的に弛緩したムードというか、緊迫感が薄目に感じられました。派手な事は次々に起こってるんだけど、捜査の方は遅々として進まず…みたいなトコもあるし。

あとトミー・リー・ジョーンズが、奥さんがキーピングできちんと糊付けしたようなオヤジポロシャツを常に着ているのも、ハードボイルドな気分を減退させてたような(w。

でも、前述の通り、見て損は無いと思います。ネオ・ハードボイルドの類いがお好きな方は特に! 出来れば本作の前に「ヘブンズ・プリズナー」を一見される事をオススメします。レンタルDVDはリリースされてないけど、ワンコインDVD化されてるのでお求め易いと思いますし。

そうそう、トミーおじさんと悪役のジョン・グッドマンが、やたらと野球ネタで応戦し合うの狙ってやったのかな(w。

エレクトリック・ミスト (角川文庫)

エレクトリック・ミスト (角川文庫)

※原作本