ディフェンドー 闇の仕事人

原題も'Defendor'。ウディ・ハレルソンが街に巣食うダニどもを退治する(?)自称ヒーロー男に扮した異色クライムドラマです。共演はカット・デニングス、イライアス・コティーズマイケル・ケリー、そしてサンドラ・オー。監督・脚本のピーター・ステッビングスは、「女子高生 vs 狼男」等、本業は役者のヒトでこれが初監督作!

夜な夜な自分で考えた正義の守護者“ディフェンドー”というヒーローの扮装をしては、街の悪事に立ち向かっていた少々イッちゃってる中年男、アーサー。今夜も援交少女に車でナニさせようとしていたハゲ男を見事に退治! したと思ったら、彼の正体は麻薬課刑事のチャックだった。以後、彼を宿敵と決めつけ、つけ狙ったものの返り討ちに遭ってしまうアーサーは、今度はそれを目撃していた援交少女キャットに逆に助けられて…。

見る前は、似た題材でもある今話題の'Kick-Ass'、ほどじゃなくても、多少はポップな味つけのコミカルな内容かと思っていたんですが、実際は、ある理由からヒーローに取り憑かれた男と彼に助けられた少女の姿をシリアスといっていいトーンで描いた作品でした。

現実社会に無い自分の居場所を得る為に、ヒーローの扮装してもう一人の自分を作っていた男と、似た様な理由からドラッグに溺れていた少女。そんな二人が出逢った事で始まるストーリー。一応はトラジコメディの一種なんでしょうが、これはヒューマンドラマと言った方が適切なんじゃないかと思われる雰囲気。

初監督作だけに、題材を最大限に活かしきってるとは言えない部分、練り込みが足りない部分もありますが、非常に見応えのある作品だと感じました。

一般受けするには良い意味での軽さも欲しかったところではありますが、映画ファンなら見て損は無い佳作だと思います。