グリズリー2010


4/2レンタルリリース ファインフィルムズ

邦題も大概ですが、原題は超ストレートに'Bear'!! もちろん熊が大暴れするアニマルパニックものです。主演は「墓地」のパトリック=スコット・ルイス、他三名。監督は新人のようですが、脚本を「陰謀の戦艦」のロエル・レイネとイーサン・ワイリーが手掛けています。

両親の結婚三十周年を祝う為、それぞれのパートナーと共に帰郷の途についていたサムとニックの兄弟。ところが、お調子者のニックが“こっちが近い”と選んだ山道の途中で車はパンク。更に悪い事に立ち往生していた四人の前に巨大な熊が出現した! 恐怖の余りパニックに陥ったサムは、襲い掛かる気配も見せない熊をいきなり射殺してしまう! なじり合いながらも車を修理し出発しようとした四人。だが今度は更に巨大な熊が出現して…。

助手席の恋人の股間を触りながらわき見運転しまくりの弟もどうかと思うけど、威嚇射撃もせず、まだ何もしてないクマさんに弾丸をぶち込む兄貴もサイテー。残る女二人も、そのしょうもなさが後半明らかになったりして、はっきり言って主人公たちは感情移入のしようもないキャラクターでした。逆にクマさんの方は、殺された妻? を哀しげに見つめるシーンがあったりして、完全にクマさん目線でしか見られないような作りの序盤戦。ここまでで三十分くらい。

で、いきなり飛ばすなぁと思ったら、中盤からは熊版「オープン・ウォーター」というか「ブラック・ウォーター」というか。要するに身動きが取れなくなった人間たちが車の中でずーっとダベるのがメインの展開に。でも前述の通りのダメキャラ揃い、内容も相当ヒドいモノなので、見ているこっちはイライラするばかり。熊のダンナ! 早くコイツらをヤッちゃって下さい!! みたいな。

さすがにスタッフもこれでは間が持たないのが判ったのか、何度かクマさんの襲撃シーンを挿入。人喰いシーンもあるヨ!

そうそう、熊は基本的に着ぐるみやCGじゃなくて本物です。演技も上手くてソレ自体はイイんですが、これでは人間に直接襲い掛かるシーンは撮れないワケで。で、そういうシーンになると、クマさんガオーッ! >> 人間ギャーッ!! という、B級映画にありがちなモンタージュの連続でごまかす始末。更に緊迫感を出そうとしたんでしょう、画面は今時のガチャガチャした手ブレ映像になるんですが、おかげでもう何が起こってるのかさっぱり判らなくて困りました。

要するに凡作。これは脚本というか構成が悪いと思うなぁ。オスのクマさんが出てくると、“タマがある!!”“オレの銃にはタマが無い!!”みたいな下品なギャグが飛び出すし。

やっぱりアニマルパニックものは、猛獣を倒そうとするハンターが出て来ないと盛り上がらないですよね。早く「オープン・ウォーター」パターンはつまんないって事に気づいて欲しいなぁ。

グリズリー [DVD]

グリズリー [DVD]