地球最後の男たち THE SIGNAL

地球最後の男たち THE SIGNAL [DVD]

The Signal (2007) Official Trailer #1 - Horror Movie HD

原題も'The Signal'。今更「アイ・アム・レジェンド」のバッタモン臭プンプンの邦題&ジャケ写ですが、“サンダンス映画祭熱狂”という惹句も。それにIMDbの評価も票数が多い割りにイイんですよね。監督が三人の連名な辺り、ダメ映画の匂いも漂わせているんですが…。

深夜映画を見ている途中で急にテレビが奇妙な映像を映し始めたのに気づいたベン。その騒ぎで目覚めてしまった不倫相手のマヤは帰路についたのだが、道行く人の様子が明らかにおかしい。そして帰り着いたアパートでは、夫のルイスとその友人たちが暴れ始めていた! 部屋を締め切り、眠りについたマヤだったが、翌朝目覚めると街は静まり返り、残った人々は殺し合いを繰り広げている!? それでもベンに会う為に街に飛び出したマヤだったが…。

これは、意外にもホントに掘り出し物、拾い物でした! まずは、いかにも1970年代製の知る人ぞ知る監禁猟奇ホラーの雰囲気を漂わす深夜映画の体裁を取ったアバンタイトルからして、コイツら判ってる感がビンビン!

そして、最初に監督が三人の連名と書きましたが、作品の方も三部構成的な作り。第一部はヒロインのサバイバルをスリリングに、第二部では街の人々が狂っていく様をユーモアを交えながら、最後の第三部では彼女に追いつこうとする主人公の道行きをバイオレンスたっぷりに描いていくんですが、全体にテンポの良さは共通していて中々に魅力的。そしてくすんだ空の色も含めて、どこかイギリス映画的な雰囲気も漂わせる興味深い映像になってます。

そういう構成なんで、何かデカいストーリーがある訳じゃないし、ジャケ写にある様なデストピア的な流れにもならないんだけど、ハナから低予算映画だと判ってれば、スリラー映画好きならかなり興味深く見られる作品なんじゃないでしょうか。これならウェス・クレイヴンが“息つく暇もない傑作”って語ったというのも眉唾じゃないっぽい。

こうなると、このバッタモン臭しか感じさせない邦題とジャケ写がむしろ邪魔だなぁ。どうせパクるんなら、ノリの近さからいって「28週後…」の方が良かったんじゃないかと。とにかくそういう事で先入観を持たずに見て欲しい佳作でした。オススメ!