ジェーン・バーキン in シンデレラ

原題も'Cinderella'。ビーバン・キドロンがグリム版の『シンデレラ』を翻案したファンタジー。タイトルにはジェーン・バーキンの名がありますが、別に彼女がシンデレラ役じゃないですよ。

誰もが知ってる話だから、あらすじは省略、しようかと思ったら、これがかなりのアレンジ版でした。

舞台は現代*1。社交界に潜り込もうと貧乏田舎貴族と結婚した強欲女クローデット(キャスリーン・ターナー)と二人の娘たち。貴族はクローデットの肢体にぞっこん。それにつけこんで、クローデットは前妻の娘を使用人代わりにこき使い、シンデレラ(灰かぶり)と呼ぶ始末。そして時の王子の嫁探しを兼ねた舞踏会がその地方で開かれる事になり、クローデットと娘たちは派手に着飾っていそいそと向かう。一方のシンデレラは着るドレスも靴も無くて…。

いじめられたシンデレラがイギリス独特の荒野(+幻想的な映像処理が)を彷徨いながら嘆いてる内に辿り着いた泉には妖精が! これがジェーン・バーキンの役どころ。‘舞踏会に行ってもロクな事にはなんないよ’とのたまう厭世的なキャラクター。でもシンデレラの為に自分のお古のドレスと花びらで出来た靴(グリム版だからガラスじゃありません)をプレゼント。

現代の設定なのでシンデレラのキャラもだいぶ違います。舞踏会に行くのも王子様に会いたいからじゃなくて、自分をいじめる継母と義姉が幸せな目に合うのを阻止する為(それまでも結構不満をストレートにぶつける強気な性格!)。王子は彼女にひと目惚れ(ロッカビリー調の求愛ソングを舞踏会で熱唱!)するんですが、軽くいなしたり恋の駆け引きまでしちゃう!

これもイギリス独特のシニカルさが全体に充満していて、これは好みが分かれそうな感じ。でも、TVムービーにしては中々意欲的な作品だと思いました。

*1:パブ等には1950年代のイギリスとなってるんだけど、具体的な描写は無し。女王陛下と王子様は出てくるけど、チャールズが生まれたのが1948年だしね