ラスト・エージェント/奪還

原題は'L'echange'(英題'The Exchange')。ジャッカス・スティヴァルという無名の新人(というにはオッサン面…)が製作・脚本・主演で撮ったフランス製戦闘アクションです。IMDbによると監督は四人の連名になってますが、全員コレが初長編。キャストも知らない人ばかりという謎の映画…。

突如、小学校を武装集団が襲撃し、国防大臣ナタリーの息子を誘拐してしまう。犯人グループの要求は、ナタリーが内密に処理した極秘機密文書だった。ナタリーは息子を取り戻す為、かつて相棒だった元凄腕エージェント、ジャックを頼るのだが…。

まず作りの方から。善玉側も悪玉側も、ストーリーの鍵を握るはずの“機密文書”も、全てが具体性ゼロで、よく考えなくてもスカスカの設定。感動の名場面に使いそうなシンフォニックなBGMを冒頭から流しっ放しなトコからしても、やはり素人クサい作りでした。

そもそも、この手の話だから当然スーパー戦闘マシンのはずの主人公の強さを、序盤でちゃんと見せてないのはどうかと思う。スライやシュワ、チャック・ノリスならいざ知らず、この役者を観客は誰も知らないワケですからね。

逆に、アクションシーンは頑張ってたかな? 八十分ちょいの尺の中、銃撃戦、格闘戦、カーアクションに大爆破と、派手なシーンがまさにノンストップで続きます。よく見たら、ガチャガチャ映像でごまかしてて、大した事はやってない感じだし、途中は主人公よりも相棒(ルックスもこっちの方が…)が活躍してた気はしましたが、この部分にはそれなりのお金を掛けてちゃんとしたモノを作ろうとしてるのが伝わりました。

結局、ロシア製の「FLINT フリント」シリーズ同様に、1980年代の肉弾アクションが大好きなアンちゃん(というかオッサン?)たちが金を集めてこさえた作品なのではないかと。ひょっとしたら、銃火器周りは見るべきモノがあるかも知れませんが、その辺は詳しい方々にお任せします。