シー・サバイバー

原題は'22 Минуты'。実際に起きたソマリア沖の海賊事件をベースにしたロシア製の戦闘アクションです。スタッフ、キャストはよく知らない人たち。

2010年5月、天然ガスを積んだロシア船籍のタンカーが、ソマリア沖のアデン湾で海賊にジャックされる。警戒に当たっていたロシア軍海兵隊が救出に向かうが、反撃に遭い、隊員の一人サーシャは海に投げ出され、機関室に立て籠もった船員たちと共に人質にされてしまい…。

まず、アクションの方はかなり豪快(CG多めですが)で見栄えは良い。そして舞台の性質上、火器が使えない為に、クライマックスが格闘メインの大乱戦になるのは面白かったかな。ロシア兵、船員、海賊たちと、登場人物のほとんどが汗水たらしたイイ顔俳優たちというのも、ロシア映画らしくて良かったと思います。

あと、裏切り者に対する海賊の処刑法が凄惨で、ここも見どころと言えるかも。

しかし、見どころといえるのはそれくらいで、他はかなり微妙な出来でした。まず、主人公の海兵隊員が人質なのにかなり自由に船内を歩き回ったり、すぐに協力者が現れたりと、この題材なのに全体に緊張感が欠けている。

おかげで、普通なら極限状態に置かれての白日夢?みたいに思える主人公の回想シーンも、あまり追い詰められてる感が無いもんだから唐突に感じられるだけ。

こんな感じで、ロシア人が慣れない暑さのせいでのぼせ上がった状態で作ったんじゃないかと思ってしまう凡作でした。調べたら、今回リリースされるのは、二時間あった本国版を八十分ちょいに編集したバージョンみたいなので、ドラマ部分が妙にあっさりしてるのはそのせいかも知れません。

そうそう、日本でもニュースになったゴムボート絡みの“出来事”は、ちゃんとオチに使われています。

ソマリアの海賊ネタなら、素直に「キャプテン・フィリップス」かデンマーク製の「シージャック」をご覧になった方がよろしいんじゃないでしょうか。