エスケープ 暗黒の狩人と逃亡者

原題は'Flukt'(英題'Escape')。ノルウェー産の佳作スラッシャーホラー「コールドプレイ」の、監督/ローアル・ユートハウグ&脚本/トーマス・モルデスタッドのコンビによる人間狩り系アクションスリラーです。主演も「コールドプレイ」シリーズのイングリッド・ボルゾ・ベルダル。

1363年、ペストの蔓延で荒れ果ててしまったノルウェー。原野を馬車に乗って旅していた親子を山賊が襲撃。娘のシグネだけが女頭領によって生かされ、森の奥深くにある彼らのアジトへと連れ去られたのだが…。

娘が生かされたのは、野獣のような男どもの慰み者ではなく、女頭領が溺愛する幼い娘の妹を産ませるため! だが、何とその娘がヒロインを逃がし、色々あって一緒に逃亡する事に…という展開です。

既に「コールドプレイ」を見た方はご存知でしょうが、この監督の演出は非常にマナーが良いというか、ほとんど間違いが無い。構図やらタイミングやら、何もかもが丁寧で上手い。最近のバ監督がやたら多用するスローも、ここ重要!という場面でしか使わないし。

そして、イングリッド・ボルゾ・ベルダル演じる女頭領を筆頭に、山賊どもの顔つきのイイ事。山深い森、岩と苔しかない原野、そこにみすぼらしい十字架が点々と立てられた墓場、大瀑布と、ロケーションも最高で、映像面での充実度も高い。

強いて言うなら、演出がちゃんとしているのに加えて、ストーリーがシンプルだから、何だかあっさりと見られちゃい過ぎるのが難と言えば難でしょうか。フックが足りないというか。追っかけっこの迫力、スピード感もちょっと足りなかったかな。

そんな感じなので、期待し過ぎるとアレ?となるかも知れませんが、十分及第点に達してる作品だと思います。