棲む女


9/3レンタルリリース SIMカンパニー

※予告編
 原題は'Evil Angel'。ヴィング・レイムス主演のオカルトホラーです。
何かに怯えながらビルの屋上に駆け上がり、飛び降りてしまった男。同じ頃、幼い妊婦から赤ん坊を取り上げていた救急隊員のマーカスは、次に向った現場で瀕死の重傷を負った娼婦に心惹かれてしまう。だがマーカスの職務を超えた必死の救命行為も虚しく、娼婦はそのまま息を引き取ったのだった。妻の浮気を知ったマーカスは、それを紛らすかのように娼婦の過去を調べ始める。一方、一連の事件を探る一人の黒人探偵がいた…。
序盤からもの凄く複雑な構成(これについては後述)のせいで判りづらいんですが、要するに美女の体に取り憑いてはまた移っていく悪霊と、それに関わってしまった男たちを巡るお話でした。
見始めてまず驚くのが、少なくとも日本では全く無名の監督の作品にしては、映像が非常にしっかりしてる事。役者たちも、レイムス以外はせいぜいTVシリーズにゲスト出演してる程度のヒトばかりなのに皆ちゃんと演技してるし、見た目のレベルも高い。しかも出てくる女優さんはやたらヌードorセクシーショットで魅せてくれる。切り株シーン等、ホラー描写も中々。何気ない小物等、美術面にも神経がかなり行き届いてる印象でした。
が、しかし。見どころがかなりある魅力的な映像面に対して、お話の構成や演出、編集(監督が兼任)の方は思わせぶりというか、独り善がりというか。前半戦なんか、ほぼ全編何らかの同時進行、それも二つの場面が入り組んだ作りにしちゃってて、判りづらいったらありゃしない。おかげで、登場人物の心の動き、あるいは時間経過みたいなのまでちゃんと見せられてないんですよ。終いには、そんなヘンな構成でずーっと進むせいで、トータル二時間越えという、ジャンル映画としては最低な事になってるし。
そんな感じで、何ともバランスの悪い、不思議な作りの作品でした。で、何故映像面だけがこんなに突出してるのか気になって調べたら、何と撮影監督が「ジョーズ」の! 「カッコーの巣の上で」の!! 「フレイルティー/妄執」の大ベテラン、ビル・バトラーだったのです!!! これが判って全ての謎が解けた、そんな気分です。

※主人公の妻がコレを見ながら自殺するシーンあり。監督は映画好きではあるんでしょうね。