トレイター 大国の敵


8/6レンタルリリース インターフィルム

原題も'Traitor'。ドン・チードル主演による社会派サスペンスアクションです。共演はガイ・ピアース、サイード・タグマウイ、ニール・マクドノー、そしてジェフ・ダニエルズ。監督・脚本のジェフリー・ナックマノフは「デイ・アフター・トゥモロー」に脚本で参加していたヒト。更に原案はあのスティーヴ・マーティン!

イエメンでテログループに爆薬を売ろうとしていたスーダン人、サミール。だが地元警察の急襲を受け、組織のメンバーたちと共に逮捕されてしまう。獄中でも拝礼を欠かさないサミールの姿を見たテロリスト、オマールは彼に接近し、共に脱獄。更に組織のメンバーに勧誘するのだった。一方、同じくイエメンでサミールと出会ったFBI捜査官クレイトンも、組織への突破口に使おうと彼の素性を洗い始めていた…。

かなり以前から、Amazon.com等で“お前の好きなのはこんなんだろ!? 買えや、オラ〜ッ!!”とレコメンドされていたこの映画。確かに自分好みな作品でした。

まず冒頭。スーダンで暮らしていた少年期の主人公が、父親がテロによって爆殺される瞬間を目撃するシーンからスタート! インパクトも十分なら、これだけで主人公のベースにあるものを見る者に判らせる上手いオープニング。

見る前は、いいヒトの印象が強いドン・チードルがテロリスト?! という先入観があったんですが、実際かなりのヒトが抱くであろうその違和感を上手く利用しながらストーリーは進んでいきます。彼が演じてるからコイツ何か裏が? と思わせた上で、前半はFBIとテロ組織の両者が彼の素性を調べ、それによって様々な過去が明らかになるものの、データが揃えば揃うほどその本性が更に闇の中へ…という流れ。

そしてようやく正体が判る中盤以降の展開も非常にスリリングで面白い。過度にシリアスよりでもエンタメよりでもないから、見ていて引っかかるような事も無い。この手の題材なら避けては通れないアメリカの偽善みたいなのも、ダラダラ語らずにたった一言のセリフでパッと表しちゃうシナリオもスマート。当然役者たちの演技は一級品という傑作、力作でした。文句無しの必見作です。

トレイター 大国の敵 [DVD]

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