セブン:ビギンズ 彩られた猟奇

ウィレム・デフォー セブン:ビギンズ~彩られた猟奇~ [DVD]

ウィレム・デフォー セブン:ビギンズ~彩られた猟奇~ [DVD]

原題は'Anamorph'。スゴい邦題ですが、ウィレム・デフォー主演によるサイコミステリーです。しかも共演者もスコット・スピードマン、ピーター・ストーメア、クレア・デュヴァル、ドン・ハーヴェイ、ジェームズ・レブホーン、エイミー・カールソンという激シブな面子。更にミック・フォーリーやデボラ・ハリーまで出演してるのはちょっと脈絡が無さ過ぎな気も。監督はヘンリー・ミラーというバチ当たりな名前の無名のヒト。

ニューヨーク。死体を芸術品のように飾り立てる連続猟奇殺人が発生するが、第一容疑者が射殺されたのと同時に事態も収束し、終結宣言が出される。だがそれから五年後、まるでそっくりの手口の殺人事件が発生し、当時事件を担当し、その後第一線を退いた刑事オーブリーも捜査に駆り出されるのだった。捜査本部は当初悪質な模倣犯と見ていたのだが…。

最近は、その唯一無二のコワい顔を面白方面でしか活かしてなかったデフォーが久々にらしい役で好演(役作りに凝り過ぎの感すら)。そして役者の面子がスゴい分、非常にミステリードラマとしての雰囲気が充満した作品に仕上がってました。

映像の方も、物語のキモである死体アートのデザインを凝りに凝っていて、企画倒れにしていないのは中々。例えるなら「セブン」の殺人現場シーンをマジマジと解説付きで見せていく感じ。そういう意味ではこのヒドい邦題もあながち悪くないのかも(全然“ビギンズ”モノじゃないけど)。

ただし役者にしろ映像にしろ、これが十年前に作られたのならまだしも、何故今頃こんなのを? というのが正直な感想です。要するに自分らは十年以上前に「羊たちの沈黙」や「セブン」を見てるんだから、どんなにスゴい死体アートを見せられてもあまりインパクトは感じないワケで。これが志の低いB級モノならともかく、かなりマジメに作ってるから余計にそんな気持ちをより強くなったのは皮肉なところです。

トーリー的にも、おそらくは監督が映像寄りのヒトらしく、それほど面白味は無いのも難点。まぁ大した期待をしなければ…といったところでしょうか。

セブン [DVD]

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