下宿人

下宿人 [DVD]

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※予告編
 原題は'The Lodger'。ヒッチコックの初監督作の原作でもある、あの切り裂きジャック事件がモチーフになったマリー・ベロック=ローンズの同名小説をベースにしたスリラー映画です。下宿人役はサイモン・ベイカーで、家主役はホープ・デイヴィス。刑事役はアルフレッド・モリーナと「レッド・サンズ」のシェーン・ウェスト。更にフィリップ・ベイカー・ホープにレイチェル・リー・クックまで出演という中々のキャストですが、監督兼脚本はこれが初長編となる無名のカナダ人です。
サンセット大通りで連続娼婦惨殺事件が発生する。七年前、全く同じ手口で起きた連続殺人事件の犯人として逮捕、死刑に追い込んだ男は冤罪ではなかったのかと苦悩するマニング刑事は犯人探しに躍起になる。そしてこの事件が百年以上前にロンドンで起きた切り裂きジャック事件を模倣している事に気づくのだった。一方、現場近くの住宅街外れに住むバンティング夫妻の家に、マルコムという男が下宿人として現れて…。
シリアルキラーものの原点である“切り裂きジャック”ですから、オーソドックスに撮るも良し、現代風にアレンジするも良しだなぁと見る前は思ったんですが、本作の場合、初長編で監督の気合いが入り過ぎたのか、あれもこれもと欲張り過ぎてナンとも微妙な出来になってしまってました。
魅力的な下宿人の出現に、粗野な夫との生活に疲れていた主婦が急速に色気づくという展開は悪くないと思うんですよ。演じるホープ・デイヴィスは元々が美人かつ巨乳ですし。更に下宿人とはすれ違いばかりの夫が、これは妻の妄想だとなじり、見る者の推理を混乱させるというのも。
この部分に注力すれば良かったのに、追う刑事の方にも、妻の自殺とそれをなじる娘、更にFBIの横槍といった話を盛り込み、それに相当の時間を割いちゃってる。お陰で一番肝心な犯人探しのミステリーの部分がボヤけちゃってるんですよねぇ。まぁこんな色んな要素が入り組んだ話を新人で裁けてたら、相当な大物、才能の持ち主だったんでしょうけど。
最後に訪れるどんでん返しも無理矢理ちゃぶ台をひっくり返してる様にしか見えなかった。面白い部分もあるだけに、かなり勿体無く思えた凡作でした。
下宿人 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 199)

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※原作本
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ヒッチコック