レッドベルト 傷だらけのファイター

原題も'Redbelt'。デヴィッド・マメットが撮ったブラジリアン柔術の映画という事で全米公開時から気になってた作品。主演は最近やたらと見かけるもののヘンな名前のせいでメジャーになり切れてないんじゃないかと思うキウェテル・イジョフォー。以下、アリシー・ブラガエミリー・モーティマーティム・アレンジョー・マンテーニャ(「殺人課」!!)、ロドリゴ・サントロ、リッキー・ジェイ等々の多士済々な面々が共演。更にランディ・クートゥアエンセン井上は良いとして、何故かマジシャンのセロまで出演してます。

サウスサイドでブラジリアン柔術道場を開いているマイク。理想主義が過ぎて資金繰りに困っていたのだが、ある夜バーで暴漢に襲われる映画スターのチェットを助けた事から一気に好転し始める。しかしそこには、マイクが避けて通って来た薄汚いショービジネスの世界への罠が仕掛けられていた…。

マメット曰く、クロサワの様なサムライ映画との事ですが、裏切られ、踏みつけられ、窮地に追い込まれた主人公の抑えていた感情が爆発、敵地に殴り込むという仁侠映画みたいな、不思議なノリの作品でした。

おそらくは東洋思想的なモノに惹かれたんであろうマメットの妄想が爆発した、ある種のファンタジー映画と言えるかも知れません。この映画で描かれるのが異世界に近いというのは、カリフォルニアには珍しい土砂降りのシーンから始まる事でも明らか(ホントかよ?)。

そんな東洋的な世界への入り口がブラジリアン柔術ってのは違うんじゃないかとは思いますが、アメリカ人にすればあれも日本のモノという認識なんでしょう。それに、OPの和風だかナンだか判らないBGMから始まって、エンセンの下手っぴな日本語*1やセロ絡みの演出等、国辱的シーンが続出するのも、柔道の鬼っ子的存在であるブラジリアン柔術に相応しい気がして、そんなに腹も立ちませんでした。

それとクライマックスの総合格闘技のシーンで登場する柔術の師範役。そこらにいた日系人の爺さんをキャスティングしたんじゃねぇの…くらいに思ってたら、何とコレがダン・イノサント! これで理想主義的過ぎるラストも一気に許せた!

*1:ハッパの吸い過ぎのせいじゃないと信じたい。