ストップ・ロス 戦火の逃亡者

ストップ・ロス/戦火の逃亡者 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

ストップ・ロス/戦火の逃亡者 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

原題も'Stop-Loss'。イラク戦争からの帰還兵たちの苦悩を描いた、「ボーイズ・ドント・クライ」以来となるキンバリー・ピアース監督・脚本によるシリアスな青春ドラマです。主演はライアン・フィリップ。共演にアビー・コーニッシュ(「キャンディ」)、チャニング・テイタム(「ステップ・アップ」)、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(「ルックアウト 見張り」)。

過酷なイラクの戦場から帰還したブランドンたち。故郷の人々は暖かく迎えてくれるのだが、彼らの心についた傷が癒される事は無かった。そんな中、正式に除隊の手続きを踏む為に基地へ戻ったブランドンに待っていたのは、兵士不足を補う為の兵役延長(ストップ・ロス)の命だった。もう戦場に戻りたくないブランドンは食い下がるが抗議は受け付けられず、逆に営巣送りの処罰が下されてしまう。基地から脱走したブランドンは、幼馴染みで同僚の婚約者でもあるミシェルを伴って、地元の上院議員に直訴する為に首都ワシントンへ向うのだが…。

ベトナム戦争後から作られ続けている帰還兵モノのパターンを踏襲した作品でした。映像の切れ味は鋭いし、テンポも良し。キャストも若手俳優の注目株で固められてるだけあって皆好演してます。

また、主人公たちの故郷をテキサスの田舎町というのからしてミエミエですが、宗教への警鐘や、有色人種への根強い差別意識なんて辺りもこそっと忍ばせてあったりと、現代的なテーマもしっかり盛り込まれてある。

そんな感じで、見て損の無い出来ではあるんですが、逆に強烈なインパクトを与える程でも無いんだなぁ。これは主人公の苦悩やもがきといった辺りの描き込みが不足してるからじゃないかと。

そう考えると、内容の好き嫌いはあっても、オリバー・ストーンの「7月4日に生まれて」のパワーは尋常じゃなかったんだなとあらためて感心させられました。