ゴーン・ベイビー・ゴーン

ゴーン・ベイビー・ゴーン [DVD]

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原題も'Gone Baby Gone'。現在発注検討してる今スパンの劇場未公開作品中最大の大ゴマ! デニス・レヘインの“私立探偵パトリック&アンジー”シリーズ第四弾『愛しき者はすべて去りゆく』を映画化した、ベン・アフレックの初監督作です。主人公の探偵カップルに扮するのは、監督の実弟ケイシー・アフレックとミシェル・モナハン。共演にモーガン・フリーマン

ボストンの街を震撼させる四歳の少女の行方不明事件。そんな中、探偵業を営むパトリックとアンジーのコンビに、消えた少女アマンダの叔母夫婦からの捜査依頼が。専門外の事件である事や、アル中でヤク中のアバズレで、事件に正面から向き合おうとしない母親の態度を見て気乗りしないパトリックたちだったが、叔母の真剣な様子に折れ、警察と協力して捜査を開始するのだった。パトリックの独自のルートで得た情報から、やがて見えてくる麻薬ディーラーの影。人口湖での人質奪回作戦を経て、事件は終結したかに思えたのだが…。

これは力作。同じ作者の作品を映画化した「ミスティック・リバー」同様、事件の真相とか児童虐待の陰惨さを越えて、人として正しい行動とは? という所まで踏み込んだラストがズシンと来る。

注目のアフレックの演出ですが、基本的にはもちろんミステリーではあるんだけど、ボストンの作家がボストンの街を舞台に書いた傑作小説を映画化したボストン育ちの男の、故郷への想いがたっぷり詰まった私映画的な味わいがあって、ここに自分はグッと来ました。

そして事件発生から真相が次々に明らかになっていく様をテンポ良く見せていく辺りは初監督作とは思えぬ巧みさ。逆に言うと、手際の良さが災いして、終盤壮絶な展開を見せていく割りには、観客を唖然呆然とさせる様な、映画的な興奮状態をもたらすまでには至ってないのがちょっと残念。まぁこの辺は今後の監督としての成長に期待です。

更に言えば、現代風の映像に頼るモノではなくて、役者の演技を軸にした撮り方なのも、全体的にパワーに欠ける原因なのかな。この辺は俳優監督らしい所でしょうけど。

で、役者の方はそんな監督の演出に応えて皆好演。主演のケイシー・アフレックは、探偵というよりも“悪そなヤツはだいたい友だち”って感じのそこらのアンちゃん風。でも彼の現代的な軽さと、相棒のミシェル・モナハンのキュートさが、映画全体をヘビーになり過ぎず、娯楽作品として踏み止まらせてるんだと思います。

エド・ハリス&エイミー・マディガン夫婦は流石に上手い(ハリウッドはもっと上手く使ってやれよ!)。それにしてもモーガン・フリーマンは、名前を連ねるだけで作品に重みが出るという点で完全にハリウッドの丹波哲郎になってるね。

ゴーン・ベイビー・ゴーン [Blu-ray]

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愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫)

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※原作本