ミスト

ミスト [DVD]

　個人的にフランク・ダラボンの映画ってあまり好きじゃない。いや、面白いとは思うけど、あの面白さってスティーヴン・キングの原作によるものがほとんどじゃないですか。もちろんキングの小説を読んで頭に思い浮かべたオレ映画を見事にアウトプットしてみせる手腕は凄いんですが。
で、この「ミスト」。キングの原作にあるB級ホラー的設定を映像化する際にダラボンが取った、ドキュメンタリー的に撮影したり、CGを使わず特殊メイクにこだわったりといったアプローチの仕方が素晴らしい。それによってキングが原作を書く時にモチーフにしたはずの、1980年代にロメロやカーペンターが作ったホラー映画の匂いまで漂わしてくれている。そういう意味では今回も見事なイタコぶりと言えます。
と言うか、イキイキとしたグロ描写あたりを見ると、やっぱりダラボンはこっちの人だったんだなぁと嬉しくなりました。B級映画のネタをA級的に上手く昇華させる巧みさはスピルバーグやキャメロンに通じるね。
例の衝撃のラストに関しては、悪趣味だなぁという感想しかないです。と言うかさ、米軍が来たら全て解決と信じちゃってるあたりが、しょせんはダラボンもアメリカ人でしかないんだなぁ。
それと下世話になりますが、レジのカワイコちゃんは虫じゃなくて触手に襲われて死んで欲しかった。その辺含めて、ダラボンの映画はエロが無いんだよなぁ。これもキングがそうだからしょうがないのか。

ミスト コレクターズ・エディション [DVD]