ポストマン

ポストマン デラックス版 [DVD]

ポストマン デラックス版 [DVD]

 公開時には散々な事を言われてた作品ですが、見てたら何か勿体無い気がしてきました。
もちろん、全編に渡って繰り広げられる、カズシゲの自分の事は棚に上げて&押し付けがましい正義感、そしてパタンコ大爆走の数々にイラッと来たり、鼻白んではしまうワケですが、でも心のどこかに“まぁカズシゲだからしょうがないか”という気持ちも芽生えてくる。だってカズシゲって元々ああいうバカだけど楽しいヤツじゃないみたいな。柴又の人々が“寅さんならしょうがない”と思うみたいに。
そう、本作の最大の不幸はしんみりした感動ストーリーとして作られた事であって、これが大船調の人情喜劇として撮られていたら全然違ったと思うんですよ。あんなクソ真面目なBGMじゃなくて、「男はつらいよ」の♪チャッチャラッチャ チャッチャラーン♪みたいなご陽気な音楽を流せばイメージがガラッと変わると思う。前述のカズシゲのイカレた行動も、周囲の人がちゃんとリアクションを取ってくれればギャグとして成立、万事解決という具合。
そう考えると、さくら=しっかり者の娘・北乃きい、タコ社長=田山涼成、おいちゃん・おばちゃん・御前様=竹中直人野際陽子、嫌味なライバルとしての前田吟=ジョー樋口の息子、源公=エンクミと、キャラの配置も完璧じゃない! これでビョーキ気味な息子を治療する女医とか港町に流れ着いたホステスとかをマドンナにすればシリーズ化もOK! 「築地」なんとかよりも全然脈があると思うなぁ。
まったくプロデューサーはカズシゲの価値が判ってないよ! と思ったら、製作総指揮は長嶋一茂本人でした。ズコー。
それと気になったのが、外房のサーファーをあんな悪く描いちゃって良いのか。蔵人さんが黙ってないんじゃないの?