侠(おとこ)の復讐
マンネリ化したヤクザVシネマに喝を入れるべく、アルバトロス系列のレーベル“ネクシード”が放つ任侠ロマン。主演は武蔵拳。共演に松田一三、小松千春、中島史恵。監督は市川徹です。
やくざの世界から足を洗い、一人息子の一也とつつましく生きる羽黒。ところが組の二代目・中嶋が勢力拡大を狙って羽黒の復帰を画策し始める。一方、一也は学校でいじめの標的になっていて…。
何でも“泣ける任侠ドラマ”が売りの作品らしいんですが、泣けるというより、単に湿っぽく暗いという印象。しんみりとジメっとしてるのは全然違うと思うんだけど。
それにヤクザの抗争と“父子モノ”のドラマパートとの二つの要素が上手く絡められてない。父親の苦悩と息子のいじめが重なって…という展開かと思ったのに、これもはっきり言って乖離したまま。結局、何で組が主人公を復帰させようとしてるのかも判んなかったなぁ。
キャスティングも妙に豪華な割りにはヘンな感じ。前述の面子以外にも、誠直也に伊吹吾郎、片桐竜次といった面々が出てるのに、その役回りの序列がどうにもおかしいし、ビートきよし、翔(横浜銀蝿)、ルビー・モレノといった飛び道具的な面子も上手く活かせてなくて勿体無ぁ。キャストで良かったのは、父親とほのかな恋に落ちる女教師役の柳明菜くらいかな。彼女の素人っぽい演技は中々新鮮でした。
そんな感じで終始なんだかなぁって気分で見てたんですが、最後の最後にもっとヒドい展開が待っていた! 余りにヒドいんで敢えてここでは書きませんけど、あれはやっちゃいかんでしょ。泣かせようとして撮ったのならスタッフの神経をマジで疑いたくなります。
まぁ、頑なに復帰を拒んでいた主人公に再びドスを握らせる強烈な動機付けにはなってるんだけど、でもあれは明らかにやり過ぎ。と言うか、もっと別な話の作り方をすれば良いじゃないって事。
という訳で、ヤクザVシネマの新しいライン誕生に期待した自分を恥じたくなる駄作でした。
- 出版社/メーカー: アルバトロス
- 発売日: 2008/09/10
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