野。良犬@MATVムービーアジア

原題も‘野.良犬’(英題'The Pye-Dog')。タイトルから香港暗黒街の底辺をのた打ち回るチンピラの物語かと思ってたら、良い意味で予想を裏切られました。

イーソン・チャン演じるチンピラが、ある密命を帯びて潜入した小学校でかつての自分と似た境遇の少年と出逢う。父に捨てられ、母は自殺してしまい、今は祖母に育てられながらも口をきかずに学校ではいじめられているその少年とチンピラ、そして臨時雇いの女教師を交えての心の交流を優しく描いた作品なのでした(一応、季節はクリスマス)。

実はその少年の父親こそがチンピラが探していた標的で…という流れで、終盤はスリリングな展開にもなり、最後は…みたいな感じなんだけど、それでも全体のトーンはどこまでも優しい。ちょっと才気走った演出がハナにはつくものの、このデレク・クォックという新人監督、今後は注目の存在になりそうです。

それはともかく、イーソンの小池さんみたいなクルクルパーマはイケてるの? まぁ彼の兄貴分役とはいえ、何故か中途半端なロンゲのヅラを被ってるエリック・ツァンの方がどうかしてるとは思うけど。

一方、ヒロイン役のジア・リンはいかにも女教師という風情の白いブラウスが可憐で良かったなぁ。彼女も実は…みたいな展開は正直蛇足だったかな。

とにかく、子役の演技とお婆ちゃんの味もあって、気持ち良く見られる佳作でした。