合衆国崩壊の日

合衆国崩壊の日 完全版(2巻セット) [DVD]

合衆国崩壊の日 完全版(2巻セット) [DVD]

※レンタル版は二巻に分けてリリース

原題は'The Trojan Horse'。カナダがアメリカに併合された世界を舞台にしたポリティカルシミュレーションドラマです。主演は「騎馬警官」シリーズのポール・グロストム・スケリット、グレタ・スカッキが共演してます。

大接戦の末、国民投票でカナダがアメリカに併合される事が決まった頃、当のアメリカ大統領スタンフィールドは、イスラム過激派と接近する中国を出し抜く為にサウジアラビアへの派兵を検討していた。タイミング良く、大統領の友人がサウジで誘拐される事件が発生するのだが、派兵が決定する前に事件は解決。その立役者になったのは、旧カナダの前首相だった。

世界の覇権を賭けて中東を舞台に駆け引きするアメリカと中国。そこに、世界のパワーバランスが崩れる事を恐れたEU各国が介入して…というのは、今の世界情勢を考えれば中々だと思います。しかしその主題に肉付けされたモノにリアリティが欠けていて、お陰で全体が陳腐な印象に。そもそもお話の取っ掛かりになるカナダの国民投票が51%の賛成で可決ってのがおかし過ぎるし、トム・スケリット演じる大統領がブッシュ以下のアホ丸出しなのも…。

そして、そんな状況が矢継ぎ早に描かれる冒頭部分の展開も性急過ぎて、何が何やら、誰が誰やらさっぱり判らない。調べてみたら、「H2O」という日本未公開のTVシリーズの続編でした。こっちを先に見ていたら、登場人物の背景等もすんなり理解出来たのかも知れませんが、本作のリアリティの無さを考えると余り変わらない気も。
更に既に相当ややこしくなってる所に、ロンドンを舞台にした選挙システムに介入出来る極秘プログラムを巡る話が絡んできて、もうワヤクチャ。

大統領選を巡る後半戦はもう少しスリリングな話になるのかなと思いましたが、こちらも細かい部分にツッコミ所満載で正直微妙。

ネタ自体は良いと思うんで、もう少しちゃんと練り込んでから作って欲しかった、残念な作品でした。