ロンリーハート

 カルト作「ハネムーン・キラーズ」として映画にもなった1940年代の基地外殺人鬼カップル・レイ&マーサと、彼らを追う刑事たちの姿を描いたサスペンスドラマ。
まぁレイ&マーサの事を知らない人には、また出た出来の悪い「L.A.コンフィデンシャル」って感じに映るんでしょうか。しかし彼らの事を「ハネムーン〜」やコリン・ウィルソン関連本で知ってる身からしたら、勿体無い事この上ない作品に見えてしょうがありませんでした。
レイ役のジャレッド・レトは、ケチな結婚詐欺師役が激ハマっていて好演(若ハゲぶりまで見事に再現!!)。しかしそのパートナーであるマーサ役のサルマ・ハエックがセクシー過ぎ! あれじゃあ、色んな男に言い寄られても仕方が無い(実際そういうシーンもある)し、何故彼女がレイに執着してるのかがさっぱり判らない。二人が凶行に及んだ原因である生い立ちや戦争体験を描かないのも謎で、何だか普通の悪女モノに見えてしまってるんだよなぁ。それに二人が狙うオールドミスたちが揃って美人なのも不思議。彼女たちもあの美貌なら、わざわざレイを選ばなくても男に不自由してない様に見えてしまう。
で、こんな美味しいネタの突っ込みが甘くなった原因はと言えば、彼らを追う刑事たちのパートにも同じくらい時間を掛けているから。しかも、捜査の様子に時間を取るんじゃなく、トラボルタ演じる刑事の崩壊した家族の話がメイン。それが事件のパートと交互に描かれるモンだから、一体こっちは何を軸に見れば良いのか判らなくなってしまう。
正直、レイ&マーサの姿だけを現代的な視点で映画化した方が絶対に面白くなったと思います。まぁ監督(「白い嵐」の脚本家)が刑事の子孫という事から始まってる企画らしいので、最初から無理な話なんだろうけど。だったら事件の方は軽めに抑えて、刑事の家族ドラマの方にもっと比重を置いた作りにすれば良かったのに。
そんな感じで、個人的にかなり不満の残る作品でした。あぁ、勿体無い!!
ハネムーン・キラーズ [DVD]

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