彼奴を逃すな@チャンネルNECO

鈴木英夫が1956年に撮った東宝映画。

身重の妻と慎ましい生活を送る青年が、殺人犯の一人を目撃した事から事件に巻き込まれるサスペンス篇。今の生活を乱されたくないという小市民的な発想で警察に通報しない若夫婦。事件が発生したのが、近くを走る汽車の通過、そしてボクシングのラジオ中継と重なって、他に誰もいないという設定が上手い。偶然アパートの隣人も犠牲者になった事で通報したものの、犯人グループの影に怯える主人公がガードしていた警官を見て勘違いして駆け出すシーン。また主人公の職業がラジオの修理屋という事で、静寂の中で急に響き渡る音という風に、全編通して緊張と緩和の出し入れが素晴らしい佳作でした。

主人公夫婦に木村功津島恵子、刑事が志村喬に土屋嘉男、犯人が宮口精二と、「七人の侍」のパラレルとして見るのも一興。音楽は芥川也寸志。それに「がんばれ!レッドビッキーズ」の日吉としやすが子役として出演してました。