人造昆虫カブトボーグVxV#28

 世界大会出場者が遂に集い、武者震いするリュウセイは思わず叫ぶ。‘ここが世界の舞台かぁーッ!’‘グーテンモルゲン!’ そこに現われたのはバイス・バロンこと天野河銀河!! 彼もまたドイツに帰化し、ドイツ代表として出場するのだった! そしてアメリカ代表のジャンマイケル・マックラクラン(声/天田真人)をリュウセイに紹介する銀河。ジャンマイケルはフレンドリーに握手を求めるが、アメリカと聞いて急なレギュレーション変更を食って掛かるリュウセイ。しかしジャンマイケルは旧レギュレーションのまま出場すると聞き、愕然とする。そして銀河が次々に主だった各国代表を説明。ドミニカ代表、昨年メジャーリーグベースボーグのMVPだったサミュエル・ピアッツァ。インド代表、テニスボーグ世界ランキング一位のサタルジット・ライン。中国代表、中国雑技団出身のワン・キョンスィー。そして今回のダークホースUAE代表のタージ・マハド・モハメド・アル・サウード殿下(声/細谷佳正)。紹介が終わった所に現われたのはフランス代表、フランシーヌ・パンナッコッタ(声/平田絵里子)! ユーロカップで銀河と死闘し、あのビデ田中をたった二分、それも11vs1の変則フットボーグマッチで葬り去った強豪だった(ちなみにボクっ子)。世界の強豪を前に柄にもなくビビり、思わずトムキャット・レッド・ビートルVを見つめるリュウセイ。その頃、スタンドで観戦していた仲間たちも心配していた。実は前回のプロジェクトチームへの非道な言動は、彼らを心配させまいとしての事だったのだ! ‘まさか、あのマシンがあれ程の暴れ馬だとは思いもしなかったよ…’ 夜中にニューマシンで練習を始めたリュウセイだったが、チャージインしようとするとリュウセイの手に激痛が走った! まるでマシンがリュウセイを拒んでいるかのように!! ‘やっぱり、あんな怪しい店で買うべきじゃなかったんじゃ…’ 路地裏のボーグショップにやって来たリュウセイたち。中に入るとどこのMAHO堂かと思わせる曰く有り気なグッズが一杯。当然売り子のおババ(声/赤土眞弓)は魔女似! ‘ん? あれは!’ 壁に飾られた三台のマシンに目を留めたリュウセイ。何かが乗り移ったかの様なオーラを放つマシン。‘幾らだ?!’‘三台で25セント’‘買った!’ 意外な所から入手したマシンでろくに練習もしていないリュウセイを心配する勝治とケン。しかしロイドさんはこれまで数々の奇跡を起こしてきたリュウセイを信じていた。そして遂に第32回ボーグバトル世界選手権の幕が切って落とされた!!
注目の予選のルール、それはボーグにあのエンパイアステートビルの壁を駆け上がらせるというものだった! しかも予選を勝ち上がれるのはゴールした順に全二百台中、わずか十六台! スピード勝負ならVモデルではなく、これまでのトムキャットでもとスタート直前まで悩むリュウセイ。‘チャージフリー! フリーエントリー! ノーオプション、ハイスピード、タワークライミングバトル!’‘ウォーッ!’×200!! 一斉にスタートした各国のマシン。しかしリュウセイのVモデルは痛恨の出遅れで最後方! ‘このバトルはスピードだけなんかじゃないよ!’ そう語るフランシーヌ。‘行けぇ! モンマルトルグランパドドゥ!’ ジグザグに駆け上がり、ライバルのマシンを次々に落として進むフランシーヌのマシン! そして力を失ったマシンは重力に負けて次々に脱落。先頭はジャンマイケルのマシン、ボーグ・ウルフ・ヒトゲノム! それを追って銀河、モハメド殿下のマシンが続く。今だ最後方のVモデル。‘やはりお前は俺の事を拒んでいるのか…’‘いや、それは違うな!’ 嘆き節のリュウセイにジャンマイケルが語りかける。Vモデルは相当のポテンシャルを秘めていると語るジャンマイケル。‘僕には君があのマシンを拒んでいる様に見えるよ’ リュウセイ、ショック! ‘互いに心を通じ合わせない限り、マシンの本当のポテンシャルが発揮される事は無い!’ リュウセイ、大ショック!! ‘そうだ、何で俺はこんな簡単な事に気づかなかったんだ…泣いている…トムキャット・レッド・ビートルVが泣いている…すまなかったなトムキャット・レッド・ビートルV! 俺が信じないで誰がアイツを信じるって言うんだぁーッ!’ リュウセイ、涙の絶叫! その時、Vモデルの目が光った! ‘行くぞ行くぞ行くぞーッ! 俺のトムキャット・レッド・ビートルVィーッ!!’ 一気に驀進を始めたVモデル!! その頃先頭ではジャンマイケルの隙を突いて殿下とフランシーヌが抜き去り、ほぼ同時にゴールイン! 僅かに角の差で殿下の勝利。ジャンマイケルや銀河のマシンもゴールし、残り一台。次々に抜き去りながら突き進むVモデル。最後はパラグアイ代表のスクリーミング・マッド・キャスターを鼻の差抜いてゴール! 戦い終わってジャンマイケルに感謝するリュウセイ。‘世界へようこそ、リュウセイ・アマノガワ’ 今度はがっちり握手し、正々堂々戦う事を誓ってEND。
何だ何だ何だ。普通に燃えるストーリーじゃないか。でも、あれ? 黄金のカルテットは?? 脚本/大和屋暁