花の慕情@チャンネルNECO

鈴木英夫が1958年に撮った東宝映画。

亡き父の後を継ぐ筈だった腹違いの弟が山で遭難死した事から、心ならずも華道の家元を継ぐ事になった貞淑な美女を巡る、吉屋信子原作の文芸メロドラマ。

清楚で気品があってと、「その場所に女ありて」よりも、やはりこちらの方が司葉子のパブリックイメージ通りのヒロイン像。でもそんな彼女が、弟の死の遠因となった男性(宝田明)と恋に落ちた事から家元の座を追われると、ヨヨと泣くんじゃなくて本当の花の道を極めようと山籠りしちゃうという、実はこれも女性の自立を描いた作品なのでした。感情を爆発させる事は無いけれど、それを花を活ける事で表現するシーンはスリリングで目を見張りました。

二人の仲を引き裂こうとする両家の母親役は杉村春子長岡輝子の名女優二人。単に憎々しいだけじゃなくて、時にコミカルだったりカッコ良かったりで、作品に深みを与えてるのは流石です。

※自分等の世代で吉屋信子原作と言えばやはりこれ!