アメリカン・ドリームズ

 原題は'American Dreamz'。「アメリカン・パイ」のポール・ウェイツによるちょっと社会派なコメディです。
超人気オーディション番組『アメリカン・ドリームズ』の新シーズンが近づき、ホスト兼プロデューサーのトゥイード(ヒュー・グラント)は、人材の発掘に余念が無かった。彼のお眼鏡に適ったのは、一人はオハイオの田舎娘サリー(マンディ・ムーア)。番組への出場が決まると、結婚寸前だった恋人ウィリアム(クリス・クライン)に別れを切り出す。そのショックで軍隊に入隊したウィリアムはいきなりイラクに派兵され、流れ弾がかすっただけで名誉の帰国。これはお涙頂戴の良いネタが出来たとビデオに撮って番組に送るが、トゥイードにはお見通し。だが、そんなサリーのしたたかさが気に入ってしまう。そしてもう一人は、このご時世に合わせてイラクから親戚を頼ってやって来た青年オマールをピックアップ。母(米軍の爆撃で死亡)の影響でミュージカル映画の大ファンだった彼が、いとこのカラオケルームで思わず歌い踊る姿を偶然番組スタッフが発見したのだ。
一方、再選を果たしたばかりの大統領ステイトン(デニス・クエイド)はショックを受けていた。珍しく新聞を読むと、自分が側近から聞いていたのと別の中東情勢の事が書かれていたからだ。補佐官(チェイニーみたいなハゲヅラ被ったウィレム・デフォー!)が止めるのも聞かず、ホワイトハウスに引き篭って新聞を読みふけるステイトン。一体今までの自分の政治家人生は何だったんだ!? 当然支持率は急降下。人気回復を狙う補佐官は、大統領が大ファンの『アメリカン・ドリームズ』に特別審査員として出演させる事に。
この情報をキャッチしたイラクの武装テロ組織は、出場を拒んでいたオマールに大統領が出演する決勝大会まで勝ち残り、自爆テロを敢行するように命令する。トゥイードの贔屓もあって順調に勝ち上がるサリーとオマール(ちなみに最後に落選するのはユダヤ人!)。そして運命の決勝大会の夜がやって来た!
海外TVが好きな人はすぐ判ると思いますが番組は'American Idol'のパロディ。そして勿論大統領のモデルはブッシュ! 別に知らなくても十分楽しめますが、その辺がちゃんと判ってれば堪らない作品だと思います。
そしてラストは、自我に目覚めた大統領が…みたいなベタにハートウォーミングな終わり方かと思いきや、一種異様な混沌状態、そして…!! いやぁ、これにはちょっとビックリしました。