ゴスペル

 原題は'The Gospel'。パッケージはメジャー感たっぷりなのに未公開なんで、ゴスペルの映画なんか日本じゃ当たらないもんなぁと思ったら、IMDbの評価がワースト85位!? 急にどんなトンデモ映画かと興味が湧いてきました。
牧師の父が教会の仕事を優先して母の死に際に立ち会わなかった事を恨んで家を出たデビッド。それから15年。セクシー系R&Bシンガーとして成功した彼の下に、父危篤の知らせが入る。久々に帰郷した彼は、父の教会が経営の危機に貧している事を知って…。
と、ここまでは普通の映画。予想されるこの後の展開は父と和解して…だと思ったら、再会早々に何の葛藤も無くあっさり仲直り。しかも父ちゃんは前半で死んじゃうし。では、父に代わって息子が教会再建の為に立ち上がる? それとも商業主義の音楽に嫌気が差して宗教の世界へ? 地元で出会った女の子との恋? 何とそれ全部正解! しかもそれらが細切れに描かれていくから、どれもこれも全然盛り上がらない訳です。
更に、教会の為に頑張ろうとする主人公の障害になる牧師が何故か二人も出てくる。しかも、こいつらがベタに拝金主義の悪人なら安っぽくても判り易くなると思うんだけど、主人公の歌より彼らの説教で信者の人が盛り上がっちゃう絵を描いてるもんだから、あまり悪に見えないんですよね。その割りに改心しましたぁみたいな演出もあるから訳判らん。
要するに脚本も演出もメタメタの映画ですが、ワースト85位にランクされる程の衝撃は正直無かったなぁ。当然随所に流れるゴスペルソング(フレッド・ハモンド、ヨランダ・アダムス等が出演)は聞き応えがあるし、主演のボリス・コドジョーはセクシーガイなんで、そういうのが好きな人は見て良いんじゃないでしょうか。
それにしてもIMDbの一般レビュー、星一つの人がいるかと思えば、満点の人もいる。いやぁ、宗教絡みの映画って恐ろしいですね。