ガリシアの獣

ガリシアの獣 [DVD]
10/6リリース ニューセレクト


Romasanta: The Werewolf Hunt (Trailer)

原題は'Romasanta:The Werewolf Hunt'。ジュリアン・サンズ主演、スペイン・イギリス合作による狼男ミステリーホラーです。

1851年、スペイン北部のガリシア地方で狼によると思われる連続殺人が発生していた。美人姉妹の姉マリアは幼い娘テレサと共に、恋人で行商人のロマサンタ(サンズ)の紹介で別の地方へ避難する事にする。一人残された妹のバーバラだったが、程なくして彼女の下へロマサンタが現れ、姉の後を追おうと誘われる。以前から憎からず思っていたロマサンタと結ばれるバーバラ。一方、警察に協力を請われたフィリップス教授は被害者の遺体から犯人が狼ではなく人間だと推理したのだった。その頃、バーバラは森で奇妙な男と出逢い、恐るべき事実を告げられて…。

邦題からも判る通り、快作「ジェヴォーダンの獣」の線を狙った作品です。そして本場ヨーロッパらしくゴシックホラーの雰囲気を上手く醸し出してるし、何よりヒロインのバーバラ(女優さんの公式)以下、登場する女優さんたちも皆魅力的。狼男の変身シーンも、ちょっとグロいけど中々頑張ってると思いますが、全体としてはこじんまりとした印象でした。

【以下、ネタバレ】



奇妙な男の証言と持ち歩いていた物が証拠となって、ロマサンタが狼男であり、一連の連続猟奇殺人(人間の体から取った脂で石鹸を作り売っていた!)の犯人だと判る。意外にあっさり逮捕されたロマサンタも自分が狼男である事と犯行を認めてしまいます。で、これで終わりかと思いきや、例のフィリップス教授が異を唱える。ロマサンタが変身するのを見たのは一人しかいない訳で、果たしてこんな猟奇殺人を犯す男の精神がまともなのか、森で獣の皮を被って目をギラつかせていた男の証言が信用出来るのか。

そう、最終盤はまるで最近の異常犯罪の裁判みたいな展開になるのです(一応実話ベースらしい)。まぁこの部分はほんのちょっとだけなんですけどね。逆にここをもっと描き込めば傑作になったのになぁと思わせる惜しい作品でした。被害者の多くが、夫が裕福な南部に出稼ぎに行って寂しい思いをしている北部の女たちという辺りも面白かったし。

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