リトル・イタリーの恋

 「イーオン・フラックス」でも出番は少ないながら結構印象深かったアメリア・ワーナー。そんな彼女がメインキャストを務めたこの映画も見てみました。監督&脚本は「シャイン」きみに読む物語」の脚本家ジョン・サルディ。その両作の間に撮られた恋愛映画です。
1950年代のオーストラリアの小さなイタリア人街に住む兄弟。弟のジーノはハンサムで社交的。結婚の約束をした恋人コニーもいるのに対して、兄のアンジェロは仕事は真面目だが引っ込み思案で、当時行われていた文通見合いも連戦連敗中。そんなアンジェロが最後の手段と弟の写真を入れて送った手紙の返事は何とOK! 大喜びする周囲に押され、真実を誰にも言えぬまま、南イタリアから‘花嫁’のロゼッタがやって来て…。
要するにヒロインが兄弟のどちらを取るかが全ての映画な訳です。ところがこのヒロインの心がちっともブレない! しかも写真だけに惚れて実家で妄想詩集を綴ってるんだけど、オーストラリアに着いてからも兄弟の真の姿をまるで見ずに妄想の世界から出ようとしない様は段々とキモく見えて来る。弟の方もそんな彼女のルックス以外の何に惚れてるのか、どうにも説得力に欠ける気が。
話が進むにつれ、本来主役であるはずの美男美女の二人より、さえなかった兄やちょっとヤな奴風だったコニーの方が人間らしさがあって、どうしても肩入れしたくなってくるんですよね。ただ主役二人を食ってしまう程に魅力的かというとそうでもない。
要するにこの監督、人物描写に深みがないんですよ。大体この主要キャスト4人以外がほとんど描かれてないのも不満。一応全員目出度し目出度しのエンディングも、余りにも緩急が無いからちっとも感動出来なかったなぁ。