“ムシキング”ブームの終焉

忍之閻魔帳によれば先日発売されたDSソフト『甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道2』が苦戦している様です。

一方の「ムシキング2」はさらに厳しく、
同時発売になった「たまごっち」が発売日から
飛ばしているのとは対照的に、かなり鈍い出足となっている。
ターゲット層からして夏休み期間中は商機があるとはいえ、
悠長に構えているとあっという間に9月の「ポケモン」がやって来てしまう。
盆商戦で盛り返しがないようであれば、早めに売り切るが吉だ。

でもこれって、レンタル屋の立場から言わせて貰えばかなり早い段階で予想出来ていた事なんですよね。だってアニメ版の「甲虫王者ムシキング 森の民の伝説」の貸し出しが巻を追う毎に悲惨な数字になっていったんだもの。もっと言えばそこそこでも出たのは一巻目だけでした。

あの作品は中身はともかく、全体の作りが明らかに“ムシキング”の主要ターゲットである小学生低学年〜未就学児童の男の子の趣向を無視しちゃってるのは、一度でも見た方なら判ると思います。キャラクターデザインは柔らかくて女の子向きだし、描くエピソードは大人が見た方が良いような内容でした。でもその層はなまじタイトルに“ムシキング”って付いてるから、まず見てくれない訳ですよ。第1回放送の時、素直にコロコロ・ボンボン系のバトルアニメにすりゃあ良いのにって、頭を抱えてしまいました。あれを見て男の子は絶対そっぽを向いたと思う。そして子供たちは一度醒めたら絶対戻って来ないですから。結局劇場版で遅まきながらバトルアニメにした訳ですが、時既に遅しだったと思います。これも先日DVDがリリースされましたが、案の定地味な回転に留まっています。

確かアニメ化の記者会見の際、セガの方は“ポケモン並のコンテンツにする!”と語ってたはず。でも「ポケモン」アニメ版は、主要ターゲットの趣向を絶対に外さない様に徹底的に管理した訳ですよね。その辺、相変わらずセガは脇が甘いというか何というか。スタッフの好きに作らせたとしか思えないあのアニメ版は、明らかにブームにメーカー自ら水を掛けてしまったものだったと言わざるを得ません。

まぁレンタル屋以前に、本家本元のカードの“ムシキング”筐体を置いているショップさんならもっと早くからブームの終焉を感じ取っていたと思います。だってどこに行っても今や筐体の前に子供を見ないもん。だから今や飛ぶ鳥を落とす勢いの“ラブ&ベリー”ブームも、一つ戦略を間違うと一気に醒めてしまうのではと思っています。ホントあのセガならありえない話じゃないと。まぁこれはレンタル屋には今のところ関係無いので完全に他人事ですが。

最後に。実は一見順風満帆に思えるアニメ版「ポケモン」にも危機はありました。2001年頃からビデオの貸し出しが激減したんですよね。それを救ったのがGBA版の『ルビー・サファイア』のリリース。それを機に貸し出しが急上昇。ビデオの発注数をかなり搾り始めていたので慌てたのを覚えています。アニメ自体も「アドバンスジェネレーション」に切り替わってからは一定のレベルで安定。劇場版も長期に渡って高回転してくれる優良商品になっています。ただ、そろそろ緩やかに回転が鈍ってきているのも確か。でも今秋予定されているDS版のリリースでまた急上昇してくれると踏んで発注は維持しているんですがね。

※後出しみたいな事を書きましたが、本当は↑のサンプル版が来たら書こうと思っていました(5月くらい?)。結局来なくてお蔵入りにしましたが。本当にアニメ版「ムシキング」には腹が立ってたんで思わず長々と書いてしまいました。